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野党共闘は? 思惑さまざま 民新・前原新代表決定、中部の県連代表

2017年9月2日 紙面から

 トップ交代で、野党第一党は党勢回復を果たせるか。民進党の臨時大会で一日、枝野幸男元官房長官(53)を破り、再建を託された前原誠司新代表(55)。野党共闘のあり方や脱原発、改憲といった難題にどう臨むのか。中部六県の党県連代表らに受け止めを聞いた。

 本紙取材への回答では、愛知県連の国会議員のうち、十一人が前原さんに、三人が枝野さんに投じた。

 圧倒的な差になった主な理由は、共産との連携に対する距離感。前原さんは遠く、枝野さんは近い。

 次期総選挙。共産は愛知10区で野党統一候補を自らに譲るよう求めるが、民進の支持組織・連合愛知は「共産の統一候補を支援することは論外」(土肥和則会長)と強い拒否感を示す。

 前原新代表の誕生に、土肥会長は「腰を据えた選挙態勢づくりが期待できる」。県連代表の大塚耕平参院議員は「これまで代表が次々と代わり、体系的に政策を示せなかった。再び党はまとまれる」と喜んだ。

 三重では対照的に四人中、三人が枝野さんに投じた。県内で圧倒的な影響力を持つ党重鎮岡田克也衆院議員は代表時代、枝野幹事長(当時)と野党共闘を進めた。

 昨年の参院選で、共産を含む統一候補として自民候補に勝利した芝博一参院議員は「県連として枝野さんを推す意思統一をした。理念を掲げても実現できなければ、絵に描いた餅。前原さんは、(野党共闘に)柔軟に対応してくれると期待している」と話した。

 代表選で、枝野さんは党の方針「二〇三〇年代原発ゼロ」の前倒しに踏み込んでいた。廃炉中も含め原発十五基が立地する福井に、党国会議員はいない。山本正雄県議は、「前原さんは政策を体系的に考えている」と評価した。

 前原さんは民主党時代の〇五年に代表に就いたものの、「偽メール問題」で辞任した経緯がある。自民王国・岐阜で唯一の党国会議員、今井雅人衆院議員は「過去の失敗を糧に、しっかり党内をまとめてくれるはず」と期待する。

 代表選中に亡くなった羽田孜元首相の地元・長野は、四人の票が割れた。今に連なる党基盤の礎を築いた元首相の長男、羽田雄一郎参院議員は「政権交代を諦めていないという姿勢を見せられた代表選だった」と振り返る。滋賀の田島一成衆院議員は次期衆院選に向け「今日から再スタートだ」と語った。

◆大きな争点出せるか

 <愛知学院大の森正教授(政治学)の話> 前原代表は自民に対し、何でも反対ではなく提案路線で臨むだろう。問題は、個々の法案への対案だけでなく、総選挙の一大争点となるようなテーマを突きつけられるかどうか。郵政解散など自民の設定した土俵では必ず敗れてきたからだ。「都民ファーストの会」などとの連携は、民進からの離党者が出ないよう注意しながら進めなければならない。共産との選挙協力は地域事情が左右するため、実際には大きな進展も後退もないだろう。

◆現実路線で対抗して

 <ジャーナリストの大谷昭宏さんの話> 票差も含めて結果に意外感はないが、民進には好機が来ている。民進の支持率が回復しなかったのは、掲げる政策ではなく民主党政権時代のバラバラ感や頼りなさを国民が感情的に嫌ってきたから。しかし、今は安倍政権や自民が加計学園問題や議員の不祥事などで同様に嫌われつつある。前原代表の下、どこまで攻勢を強められるか。共産との選挙協力に積極的だった枝野さんの主張も取り込みながら、現実路線で自民に対抗してほしい。

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