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愛知

自民、横ばい「8」、立民は善戦「2」

2017年10月23日 紙面から

 衆院選は二十二日投開票され、県内十五選挙区のうち自民は八勝し、希望、立憲民主、無所属の三つに分かれた旧民進勢は七勝。与野党の星取りは二〇一四年衆院選と同じで、互角の戦いだった。県内の投票率は過去最低だった一四年衆院選を0・46ポイント上回る54・65%(速報値)だった。

 全十五選挙区にいずれも前職を擁立した自民は1、4、6、8、9、10、14、15区を制した。

 1区は、立民元職、希望元職との三つどもえとなり、熊田裕通さんが、野党が割れた利を生かして、三期連続の当選。ほかの選挙区でも、公明を含めた強固な支持基盤、後援会を背景に、手堅い選挙戦を展開した。

 野党側は十二人を立てた希望が2、11、13区で、三人が出馬した立民は3、5区で、いずれも旧民進の前職が、自民前職との激戦を振り切った。

 なかでも3区の近藤昭一さん、5区の赤松広隆さんの立民ベテラン二人は党勢に乗り、かつてないほど熱気にあふれる戦いだった。

 12区の重徳和彦さんは民進の方針に従い公認を求めた希望から、明確な説明なく公認を得られなかったが、無所属での「背水の陣」で完勝した。

 7区では、民進を離党し、同じく無所属で出馬した山尾志桜里さんが自民前職との一騎打ちに辛勝した。

 選挙区を制した十五人は全員、一二、一四年衆院選を戦い抜いた前職。希望が擁立した新人五人は全員落選した。

 (衆院選取材班)

◆野党再編、また一から

<解説>

 希望に風は吹かなかった。希望から県内で立った十二人は強い逆風すら感じただろう。

 最大の争点は、安倍政権を継続するか否か。だが、民進を巡る劇的すぎる展開、「排除の論理」発言、公認や人事など希望の抱える不透明さは、有権者の腹に落ちず、本来の争点にたどりつかなかった感がある。

 「三都連合」を結んだ大村秀章知事は「希望の応援団」から一気に引いた。選挙中だからと理由を語らなかったが、元民進の有力前職がいる選挙区にも自民を利することを承知で新人を擁立する希望の「非寛容さ」、戦略の欠如を嫌忌したのは明白だった。

 「なぜ希望へ?」。希望前職が選挙終盤を迎えても、支持者から一番に投げかけられた問いだ。

 消費税や改憲、成長戦略などの政策論議がこれだけ深まらなかった国政選挙は近年ないのではないか。突きつける真実は、緊張感ある政治、行政に政権交代可能な野党の存在が不可欠なことだ。

 かつての民主王国・愛知。民進の議員はいまも、参院に県内七人中三人を、県議は百二人中三十二人、名古屋市議は七十三人中十七人を数える。

 衆院議員は希望、立憲民主、無所属に分かれたが、再結集はあるのか。立民が核となるであろう野党再編はまた一から始まる。

 二〇一九年に統一地方選、参院選が控える。東京、大阪の民進が壊滅的ないま、愛知の方向性は全国の羅針盤になり得る。

 (県政キャップ・豊田雄二郎)

主な政党の公約

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