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愛知

譲れぬ一騎打ち 愛知7区

2017年10月19日 紙面から

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 民進党のホープとも言われた前職、山尾志桜里さんの既婚男性との交際疑惑報道は、安倍晋三首相が衆院解散を決断した一因ともいわれる。その山尾さんが無所属で出馬する愛知7区は、全国的な注目区だ。過去三回の選挙で勝敗を分け合ってきた自民前職、鈴木淳司さんとの一騎打ちは接戦で終盤を迎えた。

 「あんな相手には負けたくない」

 愛知県尾張旭市内で十六日夜に開かれた鈴木陣営の集会で、鈴木さんが力を込めた。それまでは「スキャンダルについて非難や応酬とは決別したい」と山尾さんの疑惑には触れてこなかったが、ここへきて感情をあらわにする場面がある。

 山尾さんとの過去の対戦は一勝二敗。二〇一四年の前回は自民が大勝した中でも五千票差で敗れた。昨年、山尾さんが国会で保育園の待機児童問題の追及で一躍有名になり、民進の政調会長に抜てきされた時は「もう勝てないのでは」と支援者から弱気な声も出た。

 ところが今年九月、週刊誌が交際疑惑を報じ、安倍首相が解散に踏み切ると状況は一変。疑惑の影響は大きいとみた一部の支援者からは「楽勝」との声も上がった。だが、陣営幹部は「相手はメディアの使い方もうまく、強い」と警戒を緩めない。自民は激戦の重点区に指定。最終盤で知名度の高い応援弁士を投入する可能性がある。

 県外出身者の山尾さんを意識し「7区で生まれ、育った」と強調する鈴木さん。経済産業副大臣を務めたことなどもアピール。「少子高齢化や人口減少の中でいかに経済を発展させ、福祉を守るかだ」と訴える。

 冷たい雨が降った十六日朝、愛知県大府市のJR共和駅前。山尾さんはぬれた前髪を拭いながらマイクを持った。「今回は無所属。ワンチャンスです」と、比例復活のない背水の陣であることを強調した。

 希望の党が、合流してくる民進出身者に安全保障関連法の容認など「踏み絵」を迫ったと報じられた際には、中道リベラルの筋を通せるとして「無所属で良かったと心底思っている」と強気に発言したことも。

 労組団体の連合は推薦を見送り、民進の地方議員が自発的に手伝う。野党共闘を求める共産が候補を擁立せず実質的な支援に回る。山尾さんは街頭で「共謀罪」の審議を仕切った衆院法務委員長の鈴木さんと対峙(たいじ)したこと、待機児童問題に切り込んだことを訴える。

 「三年間の活動を見て応援してくれる新しい層がいる」と陣営幹部。疑惑の影響で女性有権者がある程度離れることは覚悟するが、それでも街頭で女性から「頑張って」と声が掛かることもある。山尾さんは「待機児童問題の幕を開けた私が、このまま黙って幕引きするわけにはいかない」と力を込めた。

 (衆院選取材班)

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