• 中日新聞ウェブ
  • 中日新聞プラス

愛知

希望、立憲、無所属に3分断 民進迷走「王国」は瓦解

2017年10月5日 紙面から

写真

 衆院選を前に分裂した民進党。わずか一カ月前、党県連に十五人いた公認候補は、希望の党、立憲民主党、無所属に三分された。希望への合流を望んだ伴野豊、重徳和彦両氏はいまだ希望の公認を得られず、中ぶらりんの状態。政権交代を果たした二〇〇九年衆院選で県内十五選挙区を制覇した「民主(民進)王国」の瓦解(がかい)は否めない。

 「本当にいろいろと考え、悩んだが、自分がいるのはやっぱりここ(希望の党)じゃないと思い、決断した」

 民進党副代表だった近藤昭一氏は四日、県庁で会見を開き、立憲民主から愛知3区に出馬することを正式に表明した。

 複雑な胸中を隠さなかった。「一緒にやってきた仲間が分断されてしまった。参院や地方議会の議員、党員やサポーターも置き去りになり、申し訳ない」

 希望が三日に発表した一次公認では、県内九選挙区で、旧民進候補の希望入りが決定した。希望の「排除の論理」に反発し、立憲民主入りを表明した近藤氏ら三人に、希望は対立候補を擁立する。

 より厳しい立場に置かれているのが、希望の一次公認リストから漏れた二人だ。

 愛知8区の伴野氏は四日朝、阿久比町での街頭演説後に報道陣の取材に「平常心だ」とだけ答えた。陣営は三日夜に選対会議を開き、今後あるとされる希望の二次公認を待つ方針を確認した。

 愛知12区の重徳氏は三日夜の取材に「二次公認が出るなら受けるが、出ないのであれば無所属で堂々と戦う」と話した。

 もともと民進でも、比例に重複立候補はせず、背水の陣を敷くつもりだった。陣営幹部は「一票でも負けたら落選という状況に変化はない。二次公認も待ちながら、無所属での活動準備も進める」と語った。

 民進を離党した愛知7区の山尾志桜里氏は無所属で出馬する。四日、大府市での取材に「安倍政権に立ち向かう勢力を一つにするのが希望への合流の最大の狙いだったはず」と、希望、立憲民主に分かれた古巣の迷走を案じた。

 発足間もない希望には地方組織がない。民進党県連事務局(名古屋市東区)では、民進から希望に合流した公認候補の届け出書類の確認手続きに追われている。

 事務局幹部は「希望の事務手続きを手伝うのは心中複雑だが、われわれは民進の党本部から与えられた仕事をするだけ」と話す。

 地方議会でも、「希望」系と「立憲民主」系に分断することを懸念する声が上がっている。党県連幹事長の塚本久県議は「国会議員の所属が分かれても、せめて地方議会では一つにまとまるべきだ」と訴える。

 (衆院選取材班)

主な政党の公約

新聞購読のご案内