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愛知

減税、1区に佐藤氏 河村氏執念実る

2017年10月1日 紙面から

 十月十日公示の衆院選で、河村たかし名古屋市長が代表を務める「減税日本」は三十日、市内で幹事会を開き、市長の地盤である愛知1区に、市議で元衆院議員の佐藤夕子氏(54)を擁立することを正式決定した。小池百合子東京都知事が代表を務める新党「希望の党」が公認する見通しで、市長の「お膝元だけは減税の牙城を守る」という執念が、実を結んだ形だ。

 幹事会後、報道陣に対し「名古屋のいい政治を全国に広げたい」と決意を語った佐藤氏の隣で、河村市長は待機児童対策などに触れ「なんで名古屋ができたのか、どんどん国会で発言して日本中に広めてほしい」とエールを送った。

 解散風が吹き始めた二週間前、まず出馬に動いたのは市長だった。すぐさま市長職の後継者として地元テレビ局のアナウンサーや、市に出向経験のある官僚に水面下で打診したが、断られた。一方、衆院議員時代に旧日本新党の同僚だった小池氏や細野豪志元環境相ら新党メンバーと接触を図ったが、思うようにいかず、連携のめどは立たなかった。周囲から出馬反対の声も強く、二十六日に市長選との同日選を断念すると「もう少し名古屋の皆さんにご奉公するだわな」と漏らし、思いは不出馬に傾いた。

 ただ、「減税の火を絶やしちゃいかん」と愛知1区に候補者を擁立し、希望の党の公認を得られるかを模索。小池氏サイドから「首長はやめてほしい。小池さんも出ない」と引導を渡される一方、「佐藤さんなら乗れる」との感触を得た。

 二十九日、小池氏に直接連絡し、希望の党が佐藤氏を公認するとの内諾を取り付けると、昼すぎに不出馬を決断。「名古屋を盛り上げて、という皆さんの声が大きかった」と出馬断念を表明する表情には、久々に笑みが戻った。 (沢田敦、梅田歳晴、安田功)

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 愛知1区には自民前職の熊田裕通氏(53)、民進元職の吉田統彦氏(42)、共産新人の大野宙光(ひろみつ)氏(54)らが出馬の意向を示している。

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