衆院が解散した二十八日、県内の候補たちは国会から直ちに帰郷して街頭演説するなど、十月二十二日投開票の選挙戦は事実上、始まった。

　大村秀章知事は「大義なき解散。北朝鮮問題の中で政治空白をつくる意義はあるのか。森友、加計（かけ）学園問題の『疑惑隠し』と言われても仕方ない」とあらためて解散の時期を批判した。

　愛知５区から出馬を予定する自民前職、神田憲次氏は、民進が希望の党に事実上合流するとの報道に「議席のために手段を選ばないのは、いかがなものか」と批判。５区では共産が民進前職の赤松広隆氏との共闘のため、候補者を取り下げたばかり。神田氏は「（赤松氏が希望の党に移れば）これまでの政治スタンスは何だったのかと言われかねない」と指摘した。

　６区から出馬予定の自民前職、丹羽秀樹氏は「選挙はたくさん見てきたが、いざ解散というタイミングでこんなにばたばたする選挙は初めて」と話した。

　１５区から出馬を予定する自民前職、根本幸典氏は安倍晋三首相との写真撮影後、新幹線に。「ゼロからのスタート。東三河のインフラ整備を進めたことを訴える」と語った。

　「志半ばだが、後は皆さんに引き継ぎたい」。今季限りで政界を引退する民進前職、鈴木克昌氏にとって最後の国会。「最後にこんな大きな展開を見届けられるとは、久しぶりにワクワクした。だから政治はおもしろい。まだ大きな渦の中にいたい気持ちもあるが、少し離れて見守るのもいい」。晴れ晴れと話した。

　民進党が希望の党と事実上合流することで、民進の比例東海ブロック一位の単独候補として立候補する予定だった民進前職、中根康浩氏は処遇が見通せず困惑している。もともと愛知１２区が地盤だが、二〇一四年の衆院選直前に、旧民主と旧維新の候補者調整で、比例に回った経緯がある。党本部を交えた協議で、次期総選挙でも比例単独で出馬が決まっていた。

　今回の合流劇で希望の党に移れば、比例名簿一位に登録されるかは不透明だ。二十八日夕、岡崎市に戻った中根氏は「党の方針に沿って希望の党へ移る。（自身の処遇は）前原代表ら党幹部にお願いしたが、まだ分からない」と話した。

　（総選挙取材班）