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愛知

動揺、山尾ショック 迷走、民進執行部人事

2017年9月7日 紙面から

 五日スタートした民進党の新執行部に、幹事長に内定していたはずの山尾志桜里さん(衆院愛知7区)の名はなかった。共産を含む野党共闘への批判や経験不足を指摘する声がある一方で、男性問題のスキャンダル疑惑も浮上し、異例の「人事差し替え」の背景が波紋を広げる。再出発の出ばなをくじかれた党関係者や支援者らは困惑、動揺を隠せない。

 「県連から幹事長が出るのは喜ばしいことだったが、前原(誠司)新代表が総合的な判断で決めたことなので尊重する」。党県連代表の大塚耕平さん(参院愛知)はそう語った。

 山尾さんは二期目。「保育園落ちた 日本死ね」と題する匿名ブログを引用し、安倍晋三首相の待機児童政策を追及したことで脚光を浴び、昨年三月に誕生した民進党の初代政調会長に、大抜てきされた。

 今回も「選挙の顔」として、前原代表から一度は党運営の要である幹事長に指名されながら、土壇場で差し替えられた。政治の世界では極めて異例のことだ。

 経験不足や、共産との共闘に積極的な姿勢が党内の反発を集めたことが内定取り消しの一因とされるが、斎藤嘉隆さん(参院愛知)は「当選期数に関わらず実力のある人。清新さを打ち出す好機だったのに残念」、古川元久さん(衆院愛知2区)は「内定しただけの人事なのに、表に出たことで迷走している印象を与えてしまった。党の情報管理にも問題がある」と話した。

 共産党は、「共闘の証し」として、次期衆院選で山尾さんの愛知7区を含む県内三選挙区で候補者の擁立を見送る方針だ。党県委員会の石山淳一書記長は「山尾さんが幹事長になっていれば、より共闘が進んだかもしれない。残念」と話した。

 党関係者によると、前原代表は、山尾幹事長内定後に相次いだ党内の不満や不安の声を承知のうえで、いったんは初志貫徹で腹を固めたが、「七日発売の週刊誌にスキャンダル疑惑が報じられる」との情報が浮上し、人事差し替えにかじを切った。

 自民党の県連選対委員長、丹羽秀樹さん(衆院愛知6区)は「山尾さんの支持者には女性が多い。疑惑報道を受け、女性がどう感じるか」と指摘した。

 民進党県連(名古屋市東区)には、スキャンダルの真偽をただす問い合わせが相次いだ。

 塚本久・県連幹事長(県議)は「疑惑の展開次第では総選挙で相当な影響が出るかもしれない」、牧義夫さん(衆院比例東海)は「前原代表の就任会見の第一声は『厳しい船出』だったが、さらに厳しくなった」と話した。

 山尾さんの東郷町・後援会長、野々山利博さん(78)は「これまでの選挙で投票してくれていた人の二割くらいは、週刊誌報道を信じてしまう可能性がある。そこが怖い」と語った。

 山尾さんの秘書は「本人と連絡を取りながら、対応を検討している」と話した。

 (谷悠己、中村禎一郎、今村太郎)

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