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愛知

<二大政党制はいま 各党選対に聞く> (1)自民・丹羽秀樹さん

2017年8月14日 紙面から

 失策続きの安倍政権、自民が支持率を下げ、都議選で惨敗。だが、好敵手のはずの民進も反転攻勢につなげられない。小池百合子都知事らの勢力は意気盛んで、二大政党がともにかすむ構図。積年の政治改革の末、ようやく実現したはずの「二大政党制」はどこへ向かうのか。年内か、遅くとも来年末までに行われる総選挙を見据え、主要各党の県選挙対策責任者に聞く。

   ◇

 −内閣改造後も、支持率はまだ低い

 政権の「傲慢(ごうまん)さ」が都議選の大敗と支持率低下を招いたが、政権当時の民主党(現・民進党)はもっと傲慢だった。

 政権を取ったことで何でも思い通りになると勘違いしたのが、失敗のもと。他山の石として、あの民主党を忘れてはいけない。当時を知らない世代が増えたのも、たがが緩んだ一因だろう。

 −その民進は見る影もない

 内部で政策や意見が統一できていない。自民も「違い」はあるが、やると決めたらまとまる。昨年、不登校の子どもの受け皿になる通称「フリースクール法案」を議論したが、その法案に対しても民進はまとまらず、審議が難航して、国会をまたぐことになった。民進の限界を見た。

 −二大政党制は風前のともしび

 日本の文化に適していないと思う。二大政党制は、二つしか選択肢がない。日本の場合、政党だけではなく、候補者の個性や人柄もポイント。政党の看板だけでは勝てない。多様な選択肢があるほうが良い。

 −「日本ファースト」などは、二大政党とは別の選択肢になりうるか

 「都民ファースト」は都議選で大勝したが、地域政党は、どこまで行っても地域政党。(無党派の多い)東京だから起きた現象で、既存政党が組織を固めている地方を含め、全国で同じ現象が起きるか。疑問符が付く。

 −野党共闘は

 自民が野党だった時代、共産とも連携したことがあった。あくまで、政権与党と国会で対決するための戦略で、選挙のためではなかった。選挙で連携するには政策で一致を見ていることが大前提となる。選挙だけのための見え透いた連携は、国民のためにならない。

 −解散の観測が飛び交い始めた

 争点は経済。今後もアベノミクスに託すか、どうかだ。働く場所は増え、賃金は上がり、貧困の格差は縮まってきている。ワーク・ライフ・バランスと、労働生産性を両立させる施策を考えている。改憲は議論すべき問題ではあるが、次期総選挙をにらみながら問うのは時期尚早。総理も「時期にこだわらない」と発言した。

 −県内ではどう戦う

 名古屋を含む尾張地方では、議員個々の地道な努力が勝負を左右する。三河は労組の支援を背景に民進が強いが、政権与党として働き方改革を進めた実績を地道に説明することが鍵。解散時期は読めないが、まさに「常在戦場」の状況になったことは間違いない。

 (聞き手・今村太郎)

 【メモ】野党に転落した2009年総選挙は県内15選挙区で全敗した。12年は比例復活を含め、15区の候補全員が当選した。現在は選挙区選出が8人、比例復活が6人。参院愛知選挙区は現職7人のうち2人を占める。県議会(同102)は過半数の57議席、名古屋市議会(同75)でも第一党で22議席。

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