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「着実に県発展」 大村さん、本紙インタビュー

2019年2月4日

選挙戦を終えインタビューに応じる大村さん=名古屋市内のホテルで

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 三日投開票された知事選は、現職の大村秀章さん(58)が県全域でくまなく票を集め、大型事業見直しなどを唱えた新人の榑松(くれまつ)佐一さん(62)を大きく引き離して三選した。「経済、産業の良い流れを継続する」との訴えに多くの有権者がかじ取りを託したが、投票率は過去三番目に低い35・51%。大村県政の三期目は、さらなる少子高齢化への対応や、きめ細かな中小企業支援などが課題となる。

 選挙戦を終えた大村さんに、三期目に向けた意気込みなどを平田浩二編集局長が聞いた。

 −選挙戦を振り返って。

 十七日間、県内を東西南北くまなく回った。改めて愛知は広く、風土も違うが、この二期八年間の県政運営で地域が着実に発展してきていると実感できた。アフリカで生まれた人類が世界中に広まって躍進していった「グレートジャーニー」のように感じた。人類の進化のように、今後も県民とともに進化し続ける愛知を目指していく。

 −選挙戦で訴えた二〇二七年のリニア中央新幹線の開業を見据えたまちづくりをどう進めていくか。

 名古屋駅の大改造とともに、名駅と各地との移動をより速くできるよう、交通網を再整備する「速達化」をしっかり進める。併せて、この地域の世界への窓口となる中部国際空港の二本目滑走路整備なども実現していかなければならない。

 −外国人材の活用を含め、産業振興にどう取り組んでいくか。

 愛知には既に、東京に次ぐ数の外国人が暮らしている。労働環境の整備はもちろんだが、日本語教育など、生活支援をしっかり行い、多文化共生社会をつくっていくことが必要だ。国と経済団体、市町村などと連携し、外国人材を受け入れる体制を整えていく。自動運転車、航空宇宙など新しい産業分野の振興にもチャレンジしていきたい。

 −日本全体の中で、愛知県が果たすべき役割は。

 東京一極集中が続く中、それを止める一番手とならなければならない。県の人口は増えているが、中部三県でみれば転出超過が続く。経済、産業でイノベーション(技術革新)を起こし、地域全体でグローバルな競争に勝ち抜いていく必要がある。二二年には愛・地球博記念公園(長久手市)にジブリパークも開業する。首都圏から逆に、人を呼び込む施設にしていきたい。

 −少子高齢化の波が押し寄せている。医療、福祉分野で重視することは。

 選挙戦で県内を回り、高齢化が想像以上に進んでいると実感した。高齢者の介護や生活を地域全体で支え合う地域包括ケアシステムの整備や、先進的な認知症対策で、全国にモデルを示していく。厚生労働行政は政治家としての私のライフワークだ。引き続き、着実に進めていく。

 −名古屋市との関係は今後どうしていく。

 今までもこれからも、連携と役割分担を大切にしていく。二六年のアジア競技大会、その翌年のリニア開業などに向け、連携はさらに重要となる。河村たかし市長とも互いに意見を出し合いながら、最終的には同じ方向を向き、必要な事業を前に進めていきたい。

◆「おめでたいこと」静観の河村名古屋市長

 大村さんの当選確実の報を受け、河村たかし名古屋市長は同市東区の事務所で「おめでたいこと。人生元気にやってほしい」と話した。

 河村市長は過去二回の知事選で大村さんを全面支援したが、最近は大規模展示場の整備などを巡って関係が冷え込み、選挙戦では静観を貫いた。大村さんに対し「日本を支えているのは名古屋、愛知だともっと言ってもらいたい」と注文。自身の投票先は「内緒」と明かさなかった。

 

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