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中部空港、どうする2本目滑走路

2019年1月27日

2本目滑走路を巡り、両候補が訴えを戦わせている中部国際空港=常滑市で、本社ヘリ「あさづる」から

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 二月三日投開票の知事選では、中部国際空港(常滑市)の二本目滑走路建設構想も争点の一つ。県労働組合総連合(愛労連)議長の新人榑松(くれまつ)佐一さん(62)は不要な大型事業の象徴として反対を唱え、建設を国へ働き掛けてきた現職の大村秀章さん(58)は「さらなる経済発展に必要」と訴える。空港に隣接して県が整備する国際展示場の経済効果を巡っても主張が対立している。

 「滑走路などの大規模事業は完全に時代遅れ。県政を暮らしの土台となるよう変えていくことが最大の争点だ」

 知事選が告示された十七日。榑松さんは名古屋市での第一声で滑走路建設は不要と強調した。選挙公約では、リニア中央新幹線の整備や設楽ダム建設とともに「中止を含めて見直す」大型開発の例に挙げ、高校卒業までの医療費無料化や国民健康保険料引き下げなどに必要な財源確保のために活用すべきだと訴える。

 中部空港は、国や県などが出資する空港会社が整備し、二〇〇五年に開港した。大村さんは岐阜、三重両県や名古屋市、地元経済界などとともに滑走路の増設を求めているが、具体的な計画はまだない。県航空対策課によると、二本目を造る際に県が費用を負担するかも決まっていない。

 大村さんは街頭演説などでも二本目の建設推進を明言。二十三日には知多半島での遊説で「最近はインバウンド(訪日外国人客)が増えている。中部空港を拡張することでさらに受け入れ能力を増やし、知多半島にも観光に巡ってきてもらうようにしたい」と力説。選挙戦でも「愛知のさらなる経済発展のためには二本目滑走路が必要」と繰り返している。

 大村さんは、三百五十億円の建設費を投じて整備を進める県国際展示場にも期待する。県内への経済波及効果を年間九百六十億円と試算し「この地域に人を呼び込む核となる施設にしていく」と主張。多様な国際イベントを誘致し、活用法を広げていく考えだ。

 一方、榑松さんは「これから少子高齢化が進む中で本当にそれだけの需要や効果が出るのか」と疑問視し、大型事業を起爆剤とする現県政の転換を訴えている。

 (中崎裕、中尾吟、安藤孝憲)

 

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