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街頭演説、若者に響く?

2019年1月24日

候補者の演説を聞く学生たち=名古屋・栄で

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 2016年に選挙権年齢が18歳以上に引き下げられてから初の知事選。今回の選挙で投票権を得た18歳や17年の衆院選を経験した20歳の若者たちに、候補者の訴えはどう響くのか。中京大総合政策学部の桑原英明ゼミで地方自治を学ぶ2年生と高校生の計4人に、県労働組合総連合(愛労連)議長の新人榑松(くれまつ)佐一さん(62)と3選を目指す現職大村秀章さん(58)の街頭演説に耳を傾けてもらった。

 買い物客らでにぎわう週末の名古屋市中心部。「税金の使い方を変える」と高校までの医療費無料化を訴える榑松さんの訴えに、宇野智希さん(20)=大口町=は「身近な話をしていて、実現できることも多いのかな」と感じた。

 一七年衆院選では演説を聞く機会がないまま「何となく」で投票したが、初めて街頭演説を聞き「これからは話を聞いて投票したいと思った」と宇野さん。衆院選でも街頭演説を聞いたという渡辺聖也さん(20)=名古屋市中川区=は「国会議員も知事も、思ったより距離感が近かった。僕らの世代はスマートフォンやテレビで情報を知る人が多いけど、実際に見ると記憶にも残る」と街頭で直接、演説を聞く利点を口にした。

 一方、高橋愛麗(あいれい)さん(20)=豊明市=は、榑松さんの話に「使い方って、どうやって変えるんだろう」と実現性に疑問を感じた。二六年に県内開催されるアジア競技大会や二七年のリニア中央新幹線開業に向けたまちづくりを訴えた大村さんの話は「これから何をやるか分かりやすかった」が、大村さんが繰り返す「日本一」というフレーズに「別に日本一じゃなくていい。そこ、困ってない」とも。

 初めて聞く街頭演説に「もっと人がたくさんいるイメージだったけど、聞く人が少なかった」と関心の低さも感じ、候補者の訴えが自分たち若い世代に関係するという実感も「正直ない」(高橋さん)。高校生で唯一参加した三年の竹村有紗さん(18)=名古屋市名東区=も、熱弁を振るう候補者をよそに通り過ぎる人の多さに驚いた。「演説を聞く自分の姿に違和感を覚えた。知り合いに見られたらと思うと、気恥ずかしさすらあった」と明かした。

 入試シーズンとも重なって若者の投票率低下が懸念される中、いかに知事選への関心を高められるか。竹村さんは「進学や就職、結婚を控える私たちの世代の暮らしが具体的にどう変わるのか。そこをもっと議論してくれたらいいのに」と論争の深まりを期待した。

 (中崎裕、安藤孝憲)

 

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