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候補者の体力支える昼食は?

2019年1月23日

 23日で告示から1週間を迎える知事選。県労働組合総連合(愛労連)議長の新人榑松(くれまつ)佐一さん(62)と、3期目を目指す現職大村秀章さん(58)の両候補は県内を東奔西走し、街頭での訴えも熱を帯びている。厳しい寒さの中での選挙戦、2人はどんな食事で体力を補っているのか。昼食をのぞいてみた。

(上から届け出順)

◆ストーブで手製煮込み料理 榑松さん

 風呂敷包みをほどくと、大きめのプラスチック容器が現れた。「ゆうべストーブの上で三時間煮込んだんだよ」。つかの間の休憩時間、自ら事務所中央の机に運び、陣営スタッフと昼食を囲んだ。味が染み込んだ大根に糸こんにゃく、ホロホロの牛すじ。ちょっと一杯、が恋しくなる一品だが、この日は事務所で炊いた白飯のおわんを手に、勢いよくほおばった。「少し味が濃いけど、まあまあ」

 趣味、特技は「料理」と公言するほど。スーパーへ行けば、生協職員として培った目で安くて良い品を吟味し、魚は丸ごと買って自らさばく。選挙中は凝った調理をする時間はないが、ストーブを利用した煮物は「放置」で済むので楽だという。煮込んでいる間に、会員制交流サイト(SNS)を使って続けている外国人技能実習生らの労働相談に応じることも多い。

 三選を目指す現職に挑む戦いだが「物量、知名度不足は言っても仕方ない。できることを着実にやるだけ」とマイペースを崩さない。料理も心身の健康を保つ方法の一つだ。

 休憩は約三十分。冬物野菜の値段を話題にしばらく雑談すると、おもむろに言った。「やっぱり生活者目線は大事。家庭の食卓に上るような論点を演説でも訴えたいね」

(安藤孝憲)

◆フードコートで名古屋めし 大村さん

 選挙戦が始まってから初めての週末だった十九日正午、名古屋市港区の商業施設前での街頭演説を終えると、そのまま施設内のフードコートへ。和食、洋食、中華、さまざまなメニューが並ぶ中から「名古屋コーチンの親子丼」を選んだ。「食べ慣れた名古屋めしがあると、自然とそっち選ぶわね」

 唐辛子をさっとふりかけ、熱々のうちに次々と口に放り込む。その間も周囲にいる来店客から「頑張って」「一緒に写真を撮って」と声がかかり、気さくに話や握手に応じる。食べ終えるまでの時間は十分ほど。「だしが効いててうまかった」。スタッフとともにすぐに次の街頭演説会場に向かった。

 好きな食べ物は地元、西三河が特産のウナギだが、特に験を担ぐ勝負めしがあるわけではない。知事就任後もイベントなどで商業施設を訪れれば、フードコートでラーメンなどを他の客の隣でほおばる。

 とはいえ、選挙期間中は移動中に車の中で弁当を食べることが多く、昼食を取らないことも。周囲から「もっと栄養補給をしないと」と心配されることもあるといい「何でも食べんとやってけんわね。それが活力のもとかな」。手早く済ませる食事からは、寸暇を惜しんで選挙運動に励む決意が感じられた。

(中尾吟)

 

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