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候補者の素顔に迫る

2019年1月19日

 十七日に告示された知事選は序盤戦。新人の県労働組合総連合(愛労連)議長の榑松(くれまつ)佐一さん(62)と三期目を目指す現職の大村秀章さん(58)は東西南北に広い県内各地を巡り、有権者に支持を訴えている。演説を直接聞く機会はそれほどないかもしれないが、候補者って一体どんな人なの? 二人の「横顔」を紹介し、人柄に迫ってみた。

 (上から届け出順)

◆外国人の支援奔走 榑松佐一さん

 名古屋大理学部在学中に生協の食堂で働いていた縁で、卒業後は現在のコープあいちに就職。配達先のお年寄りや障害者の暮らしぶり、個人商店の景気などをつぶさに見てきたことが政治や市民運動に関わる原点になった。「困っている人の声に耳を澄ませるリーダーでありたい」と話す。

 労働組合の活動にも積極的に関わり、二〇〇一年、県労働組合総連合(愛労連)事務局長に就任。主に中小企業で働く労働者らの相談や賃上げに向けた統一運動で中心的役割を担い、〇九年から議長を任された。この間、周囲の求めで〇五年の名古屋市長選に立候補した経験も持つ。

 自動車メーカーの下請けで働くベトナム人研修生の過酷な労働環境を目にしたことをきっかけに、ここ十年ほど技能実習生など外国人の支援に奔走。会員制交流サイト(SNS)を駆使し、知事選のさなかも、移動時間や就寝前に相談を受けている。連日、東南アジア出身の実習生から「友だち申請」とSOSが十件近く舞い込むが「放ってはおけない。外国人支援は今後ますます重要になる」と公約にも盛り込んだ。

 先日、支援した実習生から漬物の差し入れが届いた。「うれしいよね。有権者ではない彼らも注目し、応援してくれている。期待に応えたいと思う」と意気込む。

 (安藤孝憲)

◆ジブリ作品に熱中 大村秀章さん

 二期八年にわたり知事を務める中で、県内の経済、県民の暮らしが良い流れで回っていると実感するようになった。「日本一の生産拠点である愛知を伸ばすことが、日本の力を伸ばすことにつながる。そのためには引き続き、県政のかじ取りを担いたい」。三選を目指す理由を語る。

 一九九六年に農林水産省官僚から自民党衆院議員に転身。厚生労働副大臣など要職を務めたが、二〇一一年に自民党を飛び出して知事選に出馬。自民の推薦候補ら五人が出馬する乱戦を制して初当選し、一五年に再選を果たした。

 就任後は「休みは年に二、三回ほどしかない」。公務をこなし、地域行事などに足を運ぶが、空いた時間があればさまざまな分野の本を読みあさり、知識を蓄える。愛・地球博記念公園(長久手市)で二二年秋の開業を目指すジブリパークの整備には並々ならぬ意欲を示し、最近はスタジオジブリ作品の鑑賞を楽しみにしている。作品に登場する建物などを「目を皿のようにして」見るという。

 日々心掛けていることは「健康に細心の注意を払う」ことと「悩みがあってもくよくよせず、ひと晩で忘れる」こと。課題を次々に解決していかなければならないのが政治家。「ストレスをためず、元気でいることが必要な資質だ」と力を込める。

 (中尾吟)

 

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