
『新聞社で働くエンジニア』
情報発信を技術の力で日々支える総合技術職の先輩たち。
入社5年目から11年目までの3人に集まってもらい、
各部の業務内容から就活生へのメッセージまで、率直に語ってもらいました。

左から:寺井 一秀(技術局印刷技術部)・奥村 祐太(技術局システム部)・伊藤 圭佑(技術局情報インフラ部)
まず自己紹介からお願いします!
伊藤
情報インフラ部の伊藤です。最初の3年間は印刷部、4年目から報道システム部(現システム部)で3年ほど勤務して、その後情報インフラ部発足のタイミングで異動してきました。今はサーバー・セキュリティ・ネットワークの業務をしています。情報インフラ部歴は4年になります。
寺井
6年目の寺井です。僕は大府工場が完成するタイミングで入社したので、配属後半年間は工場で立ち上げ業務をしていました。2年目で印刷技術部の所属になり、半年後に部内の電気課というところに移りました。電気課では機械設備の勉強をしたり資格を取ったりしました。今はまた印刷技術部に戻って、印刷に必要な機械やシステムの更新などをしています。
奥村
システム部の奥村です。僕は入社後3カ月辻町北工場で研修して、本配属はネットワーク部になったんですが、すぐに組織改編があって、情報インフラ部所属となりました。伊藤さんとも3年くらい一緒にお仕事させていただきました。その当時は事務系のPCの調達の担当もしました。去年システム部に異動してきて、いまは新聞製作系のシステムの運行にトラブルがないかをチェックしたり、記事を受信する側のシステムの担当をしています。

みなさんが所属する3部は、それぞれどんなことをする部署ですか?
伊藤
情報インフラ部は、システムを動かすのに必要なネットワーク・サーバー・ストレージ・セキュリティソフト・情報通信端末などを各技術系職場に提供する職場です。“インフラ”と聞いて思い浮かぶのは水や電気みたいな必要不可欠なものですよね。情報伝達に必要不可欠な環境の構築や維持が仕事、と言えばわかりやすいかな。二人が所属する印刷技術部・システム部にも、その“ITインフラ”を提供しているのに加えて、技術職場以外のビジネス部門で使うPCの調達などもしています。
奥村
システム部は新聞製作に関わるアプリケーションの開発から運用を担っている部署です。記者が記事を入力するためのシステムから、記事を新聞の“面”として組むシステム、画像として出来上がった紙面データを工場でCMYK(青・赤・黄・黒)の“色”として出すまでを、システム部が担当しています。システムを利用する記者のサポートのために、ローテーションを組んで、毎日ヘルプデスクとしても稼働しています。野球取材の技術的なサポートをしにドームへ行く部員もいます。
寺井
印刷技術部の業務範囲は、システム部から受け取った色のデータの受信から、印刷した紙面を工場の発送場に届けるまでとなります。実際に部員が印刷現場に立っているわけではなくて、業務の多くを占めるのは、その過程で使う機械やシステムの更新です。新しい工場を建てる計画の立案も印刷技術部の仕事です。印刷設備について知る工場研修は全員が経験していて、特に伊藤さんは印刷部に長くいたから、僕より印刷のこと詳しいですよね。
伊藤
以前は工場での研修も長かったけど、だんだん短くなってきているね。僕はしっかり3年間経験しました。
これまでのキャリアでどんな力が身についたと感じますか?
寺井
僕は“伝える力”ですかね。印刷技術部はそんなに部員が多くいる部署ではないので、自分ひとりで担当する業務も多かったんです。ひとつのプロジェクトにつくのは部からは多くて2人で。また、一つのプロジェクトにメーカーや印刷工場、社員など、多くの人間がかかわることが多く、仕事を進めていく中で、こちら側の要点を自分がしっかり伝える必要があります。そんな調整の場をこなすうちに、コミュニケーション能力というか、相手にきちんと伝える能力だったり、複数の人間と仕事を円滑に進めるためのスキルが身についたのかなと思います。大学での専攻と担当する業務が違っても、徐々に覚えていけばいいし、その点は心配しなくても大丈夫です。
伊藤
社内で働くあらゆる部門の人にヒアリングしながら、それぞれに必要なハードウェア・ストレージ・セキュリティは何かということを詰めていくので、“交渉力”を成長させられたかな。聞けば聞くだけいろんな要望が出てくるし、費用をかければその分いいものができるけど、適切な落としどころを探して納得してもらうことだったり…もともとコミュニケーションが得意!っていう方じゃなかったけど自然とできるようになっていきました。技術局内には“まず内製”っていう文化が根付きつつあって、自分たちの創意工夫でシステムを作り上げることも増えてきています。学生時代からPCが好きでプログラミングを勉強していたので、それが生きる場面もありますね。
奥村
情報インフラ部にいたときは、担当業務が決まっていて最初から最後まである程度“ひとりでやりきる力”を得ました。あと当時は日勤の部署で、部内での情報共有に苦労することはあまりなかったのですが、システム部は部員が多いローテーション職場なので、一同に会するタイミングがなくて。その中で自分がいないときでもしっかり対応してもらうために引継ぎのやり方を工夫したり、業務を標準化・平準化したりして“協力しあって業務を進める力”が身につきました。一人で最後まで担当するやり方と、チームで進めるやり方と、どっちがいいということもないでしょうが、みんなで課題に取り組む今の部署もやりがいがあるし、時代に合っているのかなと思います。

新聞社ならではだと思うことはありますか?
奥村
やっぱり選挙対応ですね。昨年10月に衆院選があったのですが、公示日前から開票日まで毎週のように編集局の整理記者や選挙調査室のメンバーと打ち合わせを重ねました。普段は紙面製作に関わることはないのですが、選挙の際は例外で、当選者や得票数が一覧で分かる表の作成をシステム部で担当します。届け出数が多いと表の大きさが変わってくるので、限られた紙面上でどんな情報を優先するかなど、事前に決めておくことがたくさんあります。開票日の降版(紙面データを確定させること)時間直前に、表作成の作業をしたのですが、全員が同じ時間を目指して業務を進めているなか、ここで失敗したら全員に影響が出る…と思って本当に緊張しました。事前にテストを重ねただけあって、トラブルなく終えられたのでよかったです。選挙は新聞社にとって局を問わず一大イベントです。
寺井
僕は朝刊帯・夕刊帯という時間の意識ですかね。各工場、毎日19時前後には朝刊を印刷するための準備をするため、その作業に影響を及ぼさないように検証や更新作業の工程を組むように意識しています。設備を更新した後も、安定稼働を確認するまでは、工場で朝刊印刷作業の立ち合いをするので、夜中に起きて働いているときもあって、そういうところは新聞社ならではかなと思いますね。大規模で時間がかかる作業は、月1回ある新聞休刊日に行うようにしています。例えば、北陸の工場で、とある設備の更新をした際は、3つの大掛かりな工事が必要となったため、3か月かけて毎月の休刊日に作業を実施しました。休刊日のたびに北陸に出張できて、個人的にはラッキーだったなと(笑)
伊藤
インフラ部としては、規模の違う拠点の多さがあげられると思います。本社、支社、総局、通信局、通信部といった感じで取材拠点のスケールが違うんですが、さらに市役所などにある記者クラブや警察署内の記者室、ドームの取材席なんかにも、それぞれに応じたネットワークや機材を用意する必要があります。離れたところで起こったトラブルにどう対応するかもそうですが、業務に影響しない時間に作業するとなると、朝刊帯を避けた早朝3時や4時頃になるので、僕たちも休刊日に作業を設定することも多いです。取材拠点のある福井や関東などに出張したりもします。
奥村
僕は能登半島地震発生の翌々日、1月3日から北陸に技術サポートの第二陣として入りました。すでに名古屋から記者が大勢派遣されていましたが、書いた記事を本社側の新聞製作システムに送るための環境が整っていない場所が多いと編集局から聞いていて。バッテリーやプリンタ、通信機器などをキャリーケース2つに詰めて、リュックも背負って向かいました。七尾や輪島で、編集局と一丸となって作業をするという経験ができたのは、新聞社の技術職ならではだったと思います。
寺井
僕が毎月出張してた頃はまだ震災前でしたね。
奥村
もともと1月3日は勤務の当番で、出勤してから緊急用の電源設備の確認をしていたんです。そうしていたら、そのまま午後に北陸に向かえ、という指示があって。急遽準備をして北陸に入ることになりました。地震が発生した元日の時点で、もしかしたら取材支援に部から誰か行くのかなと思っていて、実際に自分が行くことになりましたね。システム部としてはそこからローテーションで1週間くらい現地でサポートをしました。
就活中の学生にメッセージをお願いします!
伊藤
自分自身は、所属していた研究室に採用案内が届いていたのをきっかけに、中日の試験を受けました。
寺井
僕もきっかけは学内説明会でした。元々ドラゴンズが好きなのもあったし、地元の会社なのは知ってたんですけど、技術系の職場があることはそのとき初めて聞いて。
伊藤
就活中のみなさんには、ぜひいろんな会社にエントリーしてみてほしいです。まず数を打ってみて、途中で上手くいかなくても落ち込まずに…最後には意外と何とかなるもんです(笑)
寺井
新聞業界は将来的に厳しいんじゃないかって思われてるかもしれませんが、いまの技術局には、業務に生かせそうなことなら、なんでも挑戦させてくれる環境があります。教育支援の制度があるので、印刷技術部でもAIを使ったシステム制作を勉強させてもらったりとか。なんでもやってみようという風潮があるので、ここで働くのは意外と楽しいですよ。
奥村
“意外と”でいいんですか?(笑)
寺井
いや大変なこともあるからね…?まあまあ楽しいよ!くらいの方がいいでしょ。めちゃくちゃ楽しいっていうと嘘っぽいかと思って(笑)
伊藤
異動の頻度が少ない割に、出張が多くていろんなところに行けるのも楽しいよね。うちはエンジニアだからってずっと社内にいるわけじゃないしね。
奥村
福利厚生の面では、中日は育児関連制度が充実していて、仕事を続けるためのサポートが手厚い会社です。育休を取る男性の先輩も多いです。技術職は、新聞社にたくさんある職種の中でも、メディアに携わっていると実感できる部署だと思います。理系で就活している学生の中で、“新聞社のエンジニア”という職業の選択肢に気づけるのって、ほんのわずかな人数なんじゃないかな…。このページにたどり着いてくれて、いまこのクロストークを読んでくれているということは、ご縁があるということだと思うので、ぜひ技術職として一緒に働きましょう!と伝えたいです。
寺井
いいね。視点がいいよね。実際に採用ホームページを見てくれている人に向けてのメッセージ。
伊藤
いまその人たちと目が合った感じがしたね(笑)いいメッセージだ。読んでくれてありがとうございました!

※本文中の所属は取材当時のものです。