紙面から(パラリンピック)

最後の希望、土田4位 車いす「金を取りたかった」

女子マラソン(車いす)で力走する土田和歌子=田中久雄撮影

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 日本全体で金メダルがないまま迎えた最終日の最後の種目となった女子マラソン(車いす)。実績のある土田和歌子(41)に期待が集まったが、結果は4位。最後まで誰が勝つか分からない車いすマラソンらしい熱戦を終え、「残念ではあるが、自分の力を出し切った42・195キロだった」と目を潤ませた。

 上位陣の競技用車いす「レーサー」が一斉にゴールラインになだれ込む。4番目にゴールした土田はやや苦笑いし、首を大きく左右に振った。今大会、日本の金メダルゼロが確定した瞬間。「私が取りたかった」と残念がった。

 海沿いの平たんな周回コース。当初から「駆け引きの場面は少ない」と踏んでいた。40キロすぎまで上位8人がけん制し合う予想通りのだんご状態。41キロで土田がラストスパートを仕掛けたが、米国選手同士の連携にコースを阻まれるうち、左サイドから中国選手に抜き去られた。

 高校2年生の時、交通事故で車いす生活に。講習会に参加して小型のそりで速さを競うアイススレッジに出合い、1998年の長野冬季大会で二つの金メダルを獲得。99年に陸上に転向し、2004年のアテネ大会では5000メートルで金。日本人で初めて夏季、冬季ともに金メダルを獲得した。

 北京ではクラッシュ、ロンドンでは転倒する不運に見舞われ、メダルから遠ざかっていた。結婚して長男慶将君(10)が生まれた。「家族ができて、勝てないと言われるのは悲しい。子どもに見せたい」とメダルを求めてきた。

 世界を転戦するため、自宅を空けることが多い。それだけに目標に向かって努力する姿を結果で示したいと思ってきた。家族は東京にとどまったが「力を出し切った。いいレースだったと言いたい」。 

 (荘加卓嗣)

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