紙面から(パラリンピック)

総力戦、銅もぎ取る 車いすラグビー、光る連係

車いすラグビーで銅メダル獲得を決め、車いすをぶつけ合って喜ぶ池崎選手(右)と山口選手。左は官野選手=18日、リオデジャネイロで(共同)

写真

 「何としても勝つ」という気持ちがボールをつなぎ、総力戦でメダルをもぎ取った。リオデジャネイロ・パラリンピック車いすラグビーの三位決定戦。日本は目指してきたパスでつなぐラグビーが最後に実を結び、強豪のカナダに競り勝った。

 序盤に見せた気迫の差が勝敗を分けた。立ち上がりから「ジャポン」コールが響く中、積極的に相手のボールを奪い、巧みなパスで得点を重ねた。第一ピリオドが終わって17−13。点差以上にカナダを圧倒し、そのままリードを保った。

 エース池崎大輔選手(38)は持ち前の突破力でゴールラインを駆け抜けた。司令塔の池透暢(ゆきのぶ)選手(36)はパスだけでなく、走って相手をかき乱した。守備陣も相手の動きを読んで進路を妨げ、パスを遮って攻撃陣につないだ。

 四年前のロンドン大会は三位決定戦で米国に敗退。その試合を見て車いすバスケットボールから転向した池選手は「自分がメダルを掛けてあげたい人たちの期待に応えたかった。金メダルが取れず悔しいが、自分にとっては一番きれいな色のメダル」と涙を見せた。

 池選手から池崎選手へのロングパスが日本の得点パターン。だが、カナダ戦では池崎選手が相手をひきつけて池選手につなぐケースが目立った。世界のトップチームと渡り合うために、攻撃の幅を広げる練習を重ねた成果だった。

 一次リーグ最終戦は米国に1点差で惜敗。十七日の準決勝ではオーストラリアに57−63で敗れた。世界の壁の高さも感じたが、四年前と同じ三位決定戦の舞台で、重い銅メダルを手にした。

 (北島忠輔)

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。