紙面から(パラリンピック)

成田、挑戦に手応え 競泳・100自で7位

女子100メートル自由形決勝7位でゴールし電光掲示板を見る成田真由美=田中久雄撮影

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 競技に復帰し2大会ぶりに出場した競泳女子の「レジェンド(伝説)」成田真由美(46)のリオ挑戦が終わった。最終レースとなった100メートル自由形(運動機能障害S5)で7位。順位は振るわなかったが、支えてくれた人々を思い浮かべて涙した。

 予選の後、「あと1レース、悔いのないようにしたい」と話した成田。決勝は途中まで4位争いに加わったが、終盤脱落した。リレーも含め6種目に出場した今大会のメダル獲得はならなかった。

 大会中、「この舞台に戻ってこられて幸せ」と何度も話した。中学生の時、脊髄炎で下半身が動かなくなり、20歳を過ぎて水泳を始め、1996年のアトランタ大会に初出場。以後、「4年に1度、持っている力を最大限に発揮する場所」と挑み続け、2004年アテネ大会まで金、銀、銅計20個ものメダルを獲得してきた。

 病気で障害者になったライバルのアスリートの中には、泳げなくなったり、既に世を去った人もいる。元気な印象とは裏腹に、自身も「パラとパラの間の4年間はいつも入院して、手術している」と言うほど、病気との闘いは絶えない。

 それでも復帰したのは、自分は競技をしている方が世に伝えられることがあると思ったから。伝えたいのは「(詩人の)金子みすゞさんの言葉を借りるなら、『みんなちがってみんないい』」。障害のある人、肌の色が違う人、いろんな人がいて、いろんな可能性があるということだ。

 メダルは得られなかったが、自己ベストを更新するなど「可能性」は身をもって示した。「泳ぐことしかできない」と話しながら、自らの挑戦に手応えを感じたようだった。

 (荘加卓嗣)

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