紙面から(パラリンピック)

蒔田「力出し切った」 陸上女子1500

女子1500メートル決勝で6位となった蒔田沙弥香=田中久雄撮影

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 「力を出し切った」。陸上女子1500メートル(知的障害)で6位ながら今年の自己最高タイムを出した蒔田沙弥香(31)=愛知県豊川市、知的障がい者陸上連盟=は、すがすがしい表情で話した。

 2012年ロンドン大会に続く2度目のパラリンピック。父の繁(しげる)さん(52)によると「競争相手に負けたくないと思っているが、それよりも、走り続ければ、陸上に関わっているみんなとまた会えるのがうれしいんだと思う」。

 小学校低学年まで、会話がうまくできないことで、いじめられた。転機は5年生の時。校内マラソンで4位になり、同級生から「沙弥香ちゃんすごい!」と言われるようになった。陸上を頑張りだしたのはそれからだ。

 繁さんは「沙弥香がやりたいっていう限り、現役を続けさせる」と話す。「沙弥香が将来一人で生きていけるだろうかって考えて、一緒に死のうと思ったこともあった。でも沙弥香は今、一生懸命走って、いろんな人と出会って一人で生きていけるようになっている」

 蒔田は20年の東京大会にも意欲を示している。リオのレース後には笑顔でこう語った。「うれしい! 気持ち良かった!」

 (伊藤隆平)

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