紙面から(パラリンピック)

日本、金星するり 車いすラグビー

日本−米国第4ピリオド、ディフェンスを受けながら突進する池崎(左)と池(中)=田中久雄撮影

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 目前だった金星がするりとこぼれ落ちた。車いすラグビーの1次リーグ最終戦で、優勝候補の米国に挑んだ日本。パスのミスから逆転を許し、56−57で敗れた。世界ランク1位の米国を追い詰め、チームの成長を見せつけたが、あと一歩及ばなかった。

 交互に得点を重ねる接戦が続く第4ピリオド。大歓声の中、「ガシャーン」という衝突音がアリーナに響いた。車いすのタックルで池崎大輔(38)が奪ったボールを受けた主将の池透暢(ゆきのぶ)(36)がゴールラインを駆け抜け、日本がリードを奪った。

 ところが残り1秒で同点に追い付かれ、延長戦に。勝敗を分けたのは池崎の落球だった。「自分のミスでこういう結果になって悔しい」。残り4・8秒でリードを許し、池から池崎への最後のロングパスも届かなかった。

 前方へのパスも認められている車いすラグビー。確実なパス回しと素早い展開力を生かし、日本は1次リーグでスウェーデンとフランスに連勝した。

 原動力となったのは、池崎だった。6歳の時に手足の筋力が少しずつ落ちる難病シャルコー・マリー・トゥース病を発症。30歳で車いすラグビーを始め、2010年に日本代表入り。ロンドン大会は4位に終わり、「あの悔しさを二度と味わいたくない」とチームを引っ張ってきた。

 その3位決定戦で敗れた米国に、1点差の惜敗。「ボールを取られても取り返すなど、一進一退の攻防ができたことに、日本の成長を感じる」。1次リーグは2位通過で、17日の準決勝はロンドン大会の覇者オーストラリアと対戦する。「自分たちのラグビーは通用する」との手応えを持って、念願のメダルを取りに行く。

 (北島忠輔)

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