紙面から(パラリンピック)

上地「すべてぶつける」 車いすテニス3位決定戦へ

 車いすテニス女子シングルスで、上地結衣(22)が13日の準決勝で敗れ、3位決定戦に回った。ベスト8で敗退したロンドン大会から飛躍し、開会式で旗手を務めた若きエース。「すべてをぶつける」。メダルへの思いを胸に、この4年間で培った実力を出し切る。

 最終セットの第12ゲーム。上地が打ち返したボールがネットに捕まると、天を仰ぎ、ラケットを放り投げた。相手はライバルに挙げていたオランダのアニーク・ファンクート(26)。「やることをやったら、勝てていた」。負けず嫌いで知られるサウスポーは試合後、涙を浮かべて悔しがった。

 生まれつき脊髄に障害があり、両脚が自由に動かない。姉の影響でラケットを握ると、車いすテニスにのめり込んだ。トップ選手に成長して迎えたリオ大会では、金メダルを取るための秘策があった。回転をかけてボールを高く弾ませる「バックハンドトップスピン」。車いすの選手には打ちづらい高い球を返すことで甘い返球を誘い、得意のフォアハンドで仕留める作戦。女子で使える選手は少ない。

 ところが、この日は使う場面が少なかった。「ポイントが欲しい時に守りに入り、打つ勇気が足りなかった」と上地。だが収穫もあった。自分で攻めの形をつくり、確実に得点を取るパターンを増やせたことだ。

 二條実穂(35)と組んだダブルスの3位決定戦では英国のペアに敗れ、メダルに届かなかった。「今日の悔しさを全部晴らして帰りたい」。最後の試合となるシングルスの3位決定戦で、エースの意地を見せる。

 (北島忠輔)

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