紙面から(パラリンピック)

金と僅差、視線は東京 陸上・佐藤友選手

陸上男子400メートルで銀メダルを獲得し、日の丸を掲げる佐藤友祈選手=13日、リオデジャネイロで(共同)

写真

 その差はわずか0・46秒。佐藤友祈(ともき)選手(27)=静岡県藤枝市出身、グロップサンセリテ=は初のパラリンピックで銀メダルをつかみ「最高の舞台でベストを尽くせた」。ただ「力不足を感じた。非常に悔しい」と笑顔はなかった。

 陸上男子400メートル(車いすT52)決勝で、中盤から徐々にスピードを上げ、トップを走る米国選手にじわじわと迫る。最後の直線も一瞬だけ、距離を縮めたが、その後は詰められなかった。

 世界で活躍できるのは、高校のころレスリングで国体三位になった父隆さん(54)から受け継いだ身体能力が基本となっているから。「会社の人、家族、日本選手団の皆さん…。支えてくれる人たちがいなかったらこの結果はなかった」と感謝を口にした。その一人が、障害のクラスは違うが、同じ車いす陸上の大先輩、松永仁志選手(43)=グロップサンセリテ。佐藤選手が陸上パラリンピアンに憧れ、練習場が近い岡山県のリハビリ施設に移り住んだ当初、がむしゃらに練習している姿を見て、正しいトレーニングを教えてくれた。

 スポーツ支援に手厚い今の会社に引き入れてくれた恩人でもある松永選手から試合前、「いつも通りやれば結果はついてくる」とリラックスにつながる言葉を掛けてもらった。

 パラアスリートとしての人生は始まったばかり。「四年後の東京に向けて頑張りたい」。金メダルを逃した悔しさを胸に、さらに限界に挑んでいく。

 (伊藤隆平)

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。