紙面から(パラリンピック)

ボッチャで初の決勝進出

11日、ボッチャ混合団体準決勝で、ボールを投げる藤井友里子(中央)=時事

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 チーム一丸となって歴史を塗り替えた。リオデジャネイロ・パラリンピックのボッチャ日本代表チーム「火ノ玉ジャパン」が準決勝でポルトガルを破り、初のメダル獲得を確実にした。「メダルはチームの悲願」。選手たちは観客席に向かって笑顔で手を上げ、喜んだ。

 ボッチャは脳性まひの選手らが赤と青のボールを転がし、白の目標球「ジャック」にいかに近づけられるかを競う。舞台は縦一二・五メートル、幅六メートルのコート。狙いをつけて重さ約二百七十五グラムのボールを繊細に転がす。

 試合は第二エンドで日本がリードを奪い、その後も点数を重ねる展開。主将の杉村英孝選手(34)は、ボールの置かれた状況を見ながら冷静に戦略を仲間に伝えエースの広瀬隆喜選手(32)は、ジャックボールにぴたりと寄せる投球を決めるたびに、雄たけびを上げた。

 唯一の女子選手の藤井友里子選手(43)は持ち味の正確なコントロールを生かし、準決勝では出番がなかった木谷隆行選手(47)も「いけー」と仲間を鼓舞した。

 会場では関係者が日の丸を振って応援した。スポーツ庁の鈴木大地長官は「歴史的。金メダルを目指してほしい」。日本パラリンピック委員会(JPC)の鳥原光憲会長も「こんなにうれしいことはない」と涙を浮かべた。試合後のインタビューで広瀬選手は「(決勝相手の)タイは強いが、メダルは金がいい。やってきたことを出し切れば結果は付いてくる」と引き締まった表情。藤井選手は「チーム一丸となって助け合って、支え合って楽しいボッチャができた」と話した。

 (共同)

 <ボッチャ> 重度脳性まひ者や四肢重度機能障害者向けに欧州で生まれた。赤い球と青い球を交互に6球ずつ投げ、その前に投げていた白いジャックボール(目標球)により近づけた方が勝者となる。障害でボールを手でコートに投げられない選手は介助者のサポートを受けながら「ランプ」と呼ばれる滑り台のような投球補助具を使ったり、ボールを蹴ったりできる。男女がともに戦い、四つの障害のクラスでそれぞれ個人、ペア、チーム戦が実施される。

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