紙面から(パラリンピック)

健闘、夫と分かち合う 悠さんは90キロ級に出場

銅メダルを獲得し、夫の悠さん(左)と喜ぶ広瀬順子さん

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 二人で来たリオ、二人でつかんだ銅メダル−。柔道女子57キロ級で銅メダルを獲得し、今大会で日本女子選手として初のメダリストとなった広瀬順子さんは、夫で90キロ級に出場する悠(はるか)さん(37)=ともに伊藤忠丸紅鉄鋼=と抱き合い、喜びを分かち合った。

 「おめでとう。良かったね」。表彰式を終えた順子さんを、報道陣と共に会場出口で待ち構えていた悠さんは優しく声を掛けた。順子さんの首に掛けられたメダルを手にし「重いなあ」と感慨深げに一言。両腕で妻をハグして快挙をたたえた。

 「きょうは力で負けていないと思った」と話すように、ウエートトレーニングで筋肉質の体につくり変えてリオに臨み、三位決定戦でスペイン選手に一本勝ちした。

 十歳のころから柔道を始めたが、視覚障害が悪化し、高校時代にいったん競技から離れた。再開したのは、大学時代、視覚障害者のための競技、ゴールボールの試合を手伝った際に「選手がキラキラしていて、もう一度自分も何かで一生懸命になりたいと思った」から。そう考え、再び柔道に向き合った。

 競技を通じて同じ弱視の悠さんと知り合った。大会や遠征を共にする中で信頼し合うようになり、昨年十二月に結婚。「一緒にいて楽しいし、柔道ももっと強くなれる」と、順子さんがプロポーズした。悠さんも「夫婦だから、きつい練習も乗り越えられる」と話す。

 悠さんの試合は現地時間の十日。順子さんは「私がメダルを取ったら気楽にできるといっていたので、普段の力を出してくれると思う。しっかり応援したい」と試合の時とは違った妻の顔に。二〇二〇年東京大会に向けて、「下地はできたので、金メダル取りたいと堂々と言えるくらいの力を付けたい」と話した。

 (荘加卓嗣、写真も)

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