紙面から(パラリンピック)

柔道60キロ級・広瀬がメダル パラリンピック開幕

柔道男子60キロ級準決勝でルーマニア選手(下)を攻める広瀬誠=8日、リオデジャネイロで(田中久雄撮影)

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 【リオデジャネイロ=本社取材団】南米初開催となる障害者スポーツの祭典、第十五回夏季パラリンピック・リオデジャネイロ大会の開会式が七日夜(日本時間八日朝)、マラカナン競技場で開かれ、十二日間の大会が始まった。二十二競技、五百二十八種目で、過去最多の四千三百五十選手が競う。第二日(八日)には競技が本格的に始まり、柔道男子60キロ級の広瀬誠(名古屋市中村区、愛知県立名古屋盲学校教)が決勝に進み、銀メダル以上が確定した。

 日本人選手は、同66キロ級の藤本聡(徳島県立徳島視覚支援学校職)が準決勝で敗れ三位決定戦に。陸上男子5000メートル(視覚障害T11)決勝では、ロンドン大会三位の和田伸也(賀茂川パートナーズ)が登場し、六位だった。

 競技に先立つ開会式は「無限の可能性」をテーマに繰り広げられた。リオ市民や各国の応援団が八万人の観客席を埋め尽くす中、米国の車いすパフォーマー、アーロン・ウィールズさんが会場に特設された高さ十七メートルの急斜面を下ってジャンプしながら一回転。着地とともに金色の花火が上がった。

 ブラジルのパラリンピアンらによる聖火リレー中は声援が鳴りやまず、警備員と案内スタッフさえも仕事を忘れて見入る光景は、ブラジルらしさを印象づけた。

 式典の途中から激しい雨が降り始めた。走者の一人で、一九八四年大会に出場したマルシア・マルサルさんがつえを突きながら、次走者のもとへ向かう途中で転倒。スタッフに抱き起こされ再び走ると、割れんばかりの拍手が送られた。

 下半身にまひがあり、パラリンピック男子競泳で六個の金メダルを獲得している地元選手のクロドアルド・シルバが車いすでアンカーに。聖火台への階段を上れず困っていると、階段の一部がみるみるスロープに変形した。力強く坂を上って灯をともし、バリアフリーの社会が実現される大切さを表現した。

◆子どもの声援 背に一本

 日本選手団を勇気づける幸先の良いスタートを切った。リオデジャネイロ・パラリンピック柔道男子60キロ級の広瀬誠(39)。準決勝でルーマニア選手に勝利し、今大会の日本人初メダルを確定させた。

 初戦の2回戦はリードされる苦しい展開から、見事な一本で逆転勝ち。時間を置かずにたたかった準決勝は、観客席から子どもの声で「頑張れ」という声援が何度も飛んだ。

 隙を突いて関節技で一本を奪い、観客席に向かって笑顔を見せた広瀬は「子どもにメダルを掛けてやりたかったのでうれしい。あと一つ(金メダルを目指して)頑張りたい」と話した。

 (伊藤隆平)

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