<サンバの鼓動> トラブル後でも笑顔に
車いすランナーの土田和歌子さんから授けてもらった金言がある。「レースをするとき、その都市や国を心から好きにならないと勝てないんです。たぶん仕事も同じですよ」
リオ到着後、すぐに部屋のトイレが詰まった。清掃器具のラバーカップを手に格闘すること約一時間。だめだ、流れない。あきらめた。仕方なく業者に来てもらったら、あっという間に直してくれた。直後、得意げな顔でサンバを踊りだした。
翌日にはプレスセンターのエレベーターに閉じ込められた。ドアが開きかけてはすぐに閉まってしまう。係員は笑いながら眺めている。「よくあることさ。でも、出られてよかったね」と歓声とともにハイタッチで迎えてくれた。
これを災難と思うか、楽しめるか。底抜けに明るいブラジル人と接していると、トラブル後でも笑顔になってしまう。少しずつリオが好きになっている。 (森合正範)