紙面から

男子400リレー「次は金しかない」

閉会式で、笑顔を見せる陸上の男子400メートルリレーで銀メダルを獲得した(左から)ケンブリッジ、飯塚、山県、桐生=今泉慶太撮影

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 銀メダルを獲得した陸上男子400メートルリレーのメンバーは充実感あふれる笑顔で行進した。桐生祥秀(東洋大)は手を振り、山県亮太(セイコーホールディングス)は日の丸の小旗を掲げる。飯塚翔太(ミズノ)とケンブリッジ飛鳥(ドーム)は堂々と歩を進めた。100メートル9秒台の選手は一人もいない。4人の「侍」がバトンをつないで「38秒の壁」を突破した。37秒60のアジア新記録で歴史を刻んだ。

 リオデジャネイロから東京へ。思い描くのは4年後のこと。24歳で迎える桐生は「アスリートとして最高の年齢。100、200メートルで自己ベスト。400メートルリレーでは金メダル」と誓う。飯塚も「北京五輪は銅、リオは銀、あとは金しか残っていない」と目標は一つしかない。

 バトンをつないだ仲間から、ライバルへ。再び熱い戦いが始まる。山県は「今後の目標は9秒台」と明確だ。100メートルでは準決勝に進出。しかも大舞台で自己ベストの10秒05をマークした。リオの収穫は銀メダルだけではない。

 ケンブリッジはいまだにあの興奮が忘れられない。アンカーでウサイン・ボルト(ジャマイカ)と対決した。無心で走った。「今までの100メートルで一番短かった」。そして思いをはせる。「東京五輪では9秒台を出して決勝に残る」

 「10秒の壁」を破り、誰が「日本人初」の称号を手にするのか。桐生か、山県か、それともケンブリッジか。あるいは他の走者たちか。祭典は終わった。9秒台の狂騒曲が幕を開ける。 (森合正範)

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