紙面から

陸上、強化策に明暗

 陸上は「メダル2、入賞2」で全日程を終了した。当初の目標は「メダル1、入賞5」で入賞は届かなかったものの、2004年アテネ大会以来となる複数メダルを獲得。麻場一徳監督は「メダル二つは現状のレベルからするとよくやった」と総括した。

 強化が実った二つのメダルと言える。銀メダルを獲得した男子400メートルリレーは伝統の「アンダーハンドパス」を改良。100メートル9秒台の選手がいなくても、日本らしい技術で世界と戦えることを証明した。麻場監督は「伝統を守りつつ、レベルアップを図ってくれた」と語った。

 競歩男子50キロの荒井広宙(ひろおき、自衛隊)は3位に入り、日本競歩に初のメダルをもたらした。今村文男コーチを中心にこの4年で世代や所属の枠を超えて合同合宿を実施し、底上げに成功した。麻場監督が「東京五輪に向けて一つのモデルケースになる」と言うほど。同20キロの松永大介(東洋大)は7位入賞。まだ21歳で東京五輪へ期待が持てる。

 一方、男女マラソンは目標の入賞に届かず惨敗だった。14年、ナショナルチームを発足したが、実業団の方向性の違いや、選手の目指す大会が異なるため、機能していない。宗猛男子マラソン部長は「実業団は垣根がある。それは永遠のテーマ」と難しさを語る。強化策が迷走し、まだ方針を示せていない。

 また、男女ともに国内では経験のない駆け引きに翻弄(ほんろう)された。ペースの上げ下げについていけず、体力を消耗した。石川末広(ホンダ)は「選考レースではペースメーカーがいる。そういうレースをしていたら大会では勝てない」と苦言を呈した。

 ペースメーカーをつけてタイムを狙うのか、国内でも駆け引きを経験させるのか。4年後へ向けて、選考レースのあり方が問われてくる。

 (森合正範)

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