紙面から

<サンバの鼓動> 怒りの火種 消える日は

 ブラジルの地元紙では「マニフェスタサォン」という言葉をよく目にする。リオデジャネイロ五輪に合わせ、頻発する反政権デモのことを指すという。政治家らの汚職が横行する中「五輪より、もっとお金を使うことがある」との庶民の不満は根強い。

 七月末にリオ入りした直後、観光名所のコパカバーナ海岸でデモに出くわした。サンバの国らしく、ビーチに集まった人たちは明るいノリで手をたたき、体を揺らす。

 六歳からリオで暮らすジョルジナ・コルデイロさん(74)は「汚職する人はみんな牢屋(ろうや)に入れてしまえばいいのよ」と憤りつつ、複雑な思いも吐露する。

 治安の悪さ、五輪会場の建設遅れ…。愛する地元から世界に発信されるのは、ネガティブなニュースばかり。「ブラジルらしい明るさも伝えなきゃ」と国旗を振った。

 リオから聖火を引き継ぐ東京。膨らみ続ける五輪予算に、国民の厳しい視線が注がれている。怒りの火種までリレーされないか、不安は募る。(福田真悟)

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