紙面から

<サンバの鼓動> 仲良く暮らす 当たり前

 「王様ペレは黒人だろ。だけどジーコは白人なんだ」。リオデジャネイロ五輪の期間中、競技場周辺のごみ拾いを担当する掃除人フェルナンド(30)は、ブラジル人みんなに愛されているサッカー界の英雄の名を挙げ、人種差別の少ないお国柄を自慢し始めた。

 五輪公園近くのピザ屋でたまたま隣に座り、ビール片手に始まったスポーツ談議。この移民国家から一歩も出たことがないカリオカ(リオっ子)にとって、海を渡ってきたあらゆる大陸の出身者が仲良く暮らすのは当たり前だ。

 外務省によると、ブラジル人の四割超が欧州、アフリカ、アジアなどに2つ以上のルーツを持っている。フェルナンドも十六分の一イタリア人、十六分の一ポルトガル人、八分の一日本人…と指折り数えれば複雑すぎて、本人も全部は把握していない。

 「肌とか髪の色で差別するなんて時代遅れ。大航海時代じゃあるまいし」。酔っぱらってビール瓶を倒したフェルナンドに、賛成。 (中野祐紀)

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 リオ五輪を現地で取材している記者たちが街の雰囲気や大会の裏話を伝えます。

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