紙面から

強化迷走、遠のく復活 男子マラソン

 男子マラソンは世界との差を見せつけられた。日本勢トップの2時間13分57秒で16位の佐々木悟(旭化成)がゴールにたどり着いたのは、優勝者のキプチョゲ(ケニア)がテープを切ってから5分13秒が経過していた。

 佐々木は「取り組んできたことを発揮できなかった。悔しい」と漏らした。石川末広(ホンダ)は2時間17分8秒で36位、左アキレス腱(けん)痛の北島寿典(安川電機)は2時間25分11秒で94位だった。日本陸連の宗猛男子マラソン部長は「力不足。これが今の男子の現状です」と振り返った。

 国内レースではペースメーカーが一定のタイムで30キロまで引っ張る。しかし、五輪は序盤から駆け引きがあり、スタートと同時に勝負が始まる。前半は超スローペースの1時間5分57秒で折り返し、後半は1時間2分47秒と一気に上がった。石川は25キロ付近で先頭集団から脱落。佐々木も27キロすぎに後退し「(ペースの)上げ下げが国内とはまったく違う。後半のペースアップに付いていけなかった」と世界基準の戦いに手も足も出なかった。

 ロンドン五輪後の強化は迷走した。2014年4月、ナショナルチームを発足。所属の垣根を越えた合宿を行うはずだった。しかし、実業団の方向性の違いや、選手の目指す大会が異なるため、合宿は形だけ。強化を図るものではなかった。宗部長は「実業団は垣根がある。それは永遠のテーマ」と難しさを語る。この4年でマラソン復活の道筋を示すことはできなかった。

 レース後、佐々木は「何かを変えないといけない」と話し、石川は「国内のようなレースをしていたら、この大会で結果を残せない」と続けた。目標の入賞は遠かった。この惨敗を無駄にしてはいけない。

 (森合正範)

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