紙面から

<サンバの鼓動> ドラマの「深さ」伝えたい

 バドミントン男子シングルスの準決勝はドラマチックだった。北京、ロンドン両五輪で金メダルの林丹(中国)と、両五輪で銀メダルのリー・チョンウェイ(マレーシア)のライバル対決。最終ゲーム22−20の死闘の末にリーが三度目の正直を達成。試合後は抱き合い、ユニホームを交換して互いの健闘をたたえた。

 数々の国際大会を制し、世界ランキング一位ながら常に林丹の背を追う立場だったリー。林丹は今大会を最後に引退する見込みで、リーにとっては「林丹超え」の最後の機会。そうした関係を知るファンは、スーパースター二人の最後の競演を大歓声で包み込んだ。見る者の胸をこれだけ熱くするのは、五輪という最高の舞台ならではだろう。

 あらゆる競技に超人がいて、美しい物語がある。そうした背景を知ることで、日本選手の活躍がより味わい深いものになることもある。スポーツの深い魅力を伝えるため、もっと自分の見聞を広め感性を磨かなければと感じた五輪だった。

 (井上仁)

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