紙面から

やり投げ・新井、理想求め空回り

男子やり投げ決勝 新井涼平の1投目=今泉慶太撮影

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 新井の第一声は「すみませんでした」だった。男子やり投げ決勝。「やりたいことが多すぎて、いいイメージが持てないまま試合に入ってしまった」。予選では第1投で84メートル16をマークし、あっさりと決勝進出ラインをクリア。全体4位の好結果に足をすくわれた。

 「理想を求め、崩れた。自分のできること以上のイメージをしてしまった」

 アップの時点でも感覚がつかめず、迎えた第1投は77メートル98。つまずきを修正できず、第2投も80メートルに届かない。ここで上位8位に入らなければ次に進めない第3投。やりは力なく浮き上がり、72メートル49の失敗スローに終わった。

 結果的にベスト8進出に必要だった82メートル42超えは「練習でも簡単に出せる」という記録だった。いつも通りに臨めなかった初の大舞台。「足がまったく使えなかった。腕の振りだけ、という感じ。悪い部分が出てしまった」と悔いた。

 昨夏の世界選手権では9位。惜しくも入賞を逃したが「新たな感覚がつかめた」と飛躍へ向け、十分な手応えを得た。その全てを表現するはずの五輪決勝は3投で終わってしまった。「日本でもたくさんの方が応援してくださっていた。申し訳ない気持ちでいっぱいです」。率直な気持ちを聞かれると、涙で言葉が詰まった。

 (高橋隆太郎)

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