紙面から

世界との差、厳しく 男子マラソン

 日本勢は惨敗に終わった。佐々木の16位が最高で、石川は36位。北島は棄権を除けば日本人過去最低の94位。目標の入賞は遠かった。

 佐々木が「悔しい気持ち。後半のペースアップについていけなかった」と話せば、石川も「最低限の走りもできなかった。ペースの上げ下げに対応できなかった」と悔しさをにじませた。北島はレース前から左アキレス腱(けん)を痛めており「勝負はふがいないが、最後まで出し切ろうと思った」とさばさばしていた。

 これが世界の戦い方。中盤からのペースの変化についていけなかった。序盤は超スローの展開で佐々木と石川は25キロ付近までついていった。20〜25キロは15分45秒だったペースが25〜30キロは15分2秒となり、30〜35キロは14分25秒と一気に上がった。

 石川は25キロすぎに脱落。佐々木は27キロ付近でズルズル後退し、「練習で変化走をし、やれることをやってきた。でも本番と練習は違った」。世界のペースアップは想定以上だった。

 国内レースではペースメーカーが定められたタイムで30キロまで集団を引っ張る。しかし、五輪や世界選手権は序盤から駆け引きで振り落としていく。佐々木は「給水所の手前の上げ下げが国内とはまったく違った。あれで体力を削られた」と振り返り、石川は「1キロごとに目に見えない変化がある。国内の選考レースのようなやり方ではこの大会では勝てない」と現状打破を訴えた。

 待っていたのは厳しい現実。世界との差をあらためて知り、肩を落とすしかなかった。

 (森合正範)

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