紙面から

桐生選手の父、感動の涙 男子400リレー「銀」 

 日の丸を背負った選手たちが、リオデジャネイロを熱狂させた。男子400メートルリレーではウサイン・ボルト選手率いるジャマイカに食らいつき、アジア新記録をたたき出しての銀メダル。男子50キロ競歩でも日本初の銅メダルを獲得した。日本陸上界の「進化」を世界に見せつけた。

 日の丸を背に、笑顔で駆け寄る息子たちに、スタンドから身を乗り出して手を振った。400メートルリレーで銀メダルの歴史的快挙を成し遂げた日本。第三走者として大きく貢献した桐生祥秀(よしひで)選手(20)の父康夫さん(51)は「ごくろうさんと言いたい」とねぎらった。

 日本人初の9秒台を期待されながら、今大会の100メートルは予選落ちした息子。「悔しかっただろう」と思いやり、予選敗退後は「もうあと一歩がんばれ」と無料通信アプリ「LINE(ライン)」でメッセージを送った。

 「おう」と激励に応えた息子。リレーでは山県亮太選手(24)から飯塚翔太選手(25)へ渡ったバトンを受け、二位でケンブリッジ飛鳥選手(23)につないだ。ライバルであり、仲間でもある三人とつかんだメダル。「みんなと切磋琢磨(せっさたくま)して、四年後の東京でも頑張ってほしい」。康夫さんの目にはうっすらと涙が浮かんだ。

 日本陸上界に新たな歴史をつくった四人。スタンドは熱狂と声援に包まれ、「ジャパン」コールが巻き起こった。ツアーで訪れていた新潟市の主婦片桐奈保美さん(67)は、日の丸の小旗を握り締めて声援。「目の前を一瞬のうちに走り抜けていった。すごい迫力でびっくり」と息をのんだ。

 (福田真悟、宿谷紀子)

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