紙面から

会心、伝統のバトンパス 男子400メートルリレー

男子400メートルリレー決勝 第3走者の桐生からバトンを受け走り出すアンカーのケンブリッジ(左から3人目)。同5人目はジャマイカのボルト=佐藤哲紀撮影

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 技術と走力でつかんだ銀メダルだった。男子400メートルリレーで日本の五輪史上最速とされるメンバーが会心のレースで歴史に名を刻んだ。

 アンカーのケンブリッジは1、2番手争いでバトンを受けると、必死に前だけを見て走った。ボルトにこそ引き離されたが、懸命に粘り、胸を突き出してゴール。米国を抑え、銀メダルを獲得した。4人は笑顔で抱き合い、喜びを分かち合った。日本男子にとって2大会ぶりのメダルは、史上初の銀メダルとなった。

 第1走者の山県が「予選より良いスタートが切れてよかった」と得意のスタートダッシュを見せ、飯塚につないだ。飯塚は「歓声が思ったよりすごくてアドレナリンが出た」と快走。第3走者の桐生もコーナーで加速。「よりいい順位でケンブリッジさんに渡せるように」とがむしゃらに走り、最後はケンブリッジに託した。

 日本は伝統のバトンパスが効いた。次走者の手のひらに下から押し込むようにバトンを渡すアンダーハンドパスを採用している。今大会へ向け、走者が従来と比べて離れた位置から腕を伸ばしてパスすることで、距離を稼ぐ改良型に取り組んできた。

 また、相手チームのバトンミスがなくても、2位に入ったのは個々の走力が高いからこそ。ボルトがアンカーを務めたジャマイカに次ぐ成績は快挙と言える。アンカーのケンブリッジは「3人が完璧な位置で持ってきてくれたので、絶対にメダルを取るぞという気持ちで走った」。堂々とした走りで世界に日本を知らしめた。

 (森合正範)

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