紙面から

<サンバの鼓動> いつか笑顔を取材したい

 日本の終戦記念日の翌日。万国旗はためく五輪公園で、ドイツの通信社のカメラマン、カール(33)とイタリアのテレビ局の記者ルイージ(29)と一緒にハンバーガーをかじった。

 第2次世界大戦の同盟国といえど、彼らは8月15日のことなんて知らない。「戦争が終わったのは、日本が降伏文書にサインした9月2日だろ?」。国際的には確かにそのとおり。

 体操男子の種目別、跳馬で金メダルに輝いた北朝鮮の選手の話で一番盛り上がった。「インタビューを申し込んだのに、外国記者には妙に冷たかった。ああいう変な国は、つぶれればいいのに」と毒づくルイージ。カールはたしなめた。「おれたちの国だって、70年前は全体主義のおかしな国だと思われてたんじゃないかい」

 北朝鮮の選手たちが取材にあまり協力的でないのは事実だが、勝って喜ぶ姿は他国と変わらない。

 時がすぎ、いつか笑顔で答える北朝鮮の選手たちを取材する日がやって来ることを信じたい。

  (中野祐紀)

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