紙面から

地元は拍手、母校では悲鳴

■津・一志

吉田選手が4連覇を逃し、ぼう然とする人たち=19日早朝、津市一志町で

写真

 吉田選手の地元、津市一志町では十八日深夜から十九日早朝にかけ、パブリックビューイング(PV)があり、五百人が惜しみない拍手を送った。

 200インチの大型スクリーンに向かい「がんばれ!SAORI」と書かれた金色のバルーンスティックと拍手で応援。押され気味になると、津市の三重大二年、中林彩さん(19)は「諦めないで」と手を合わせた。

銀メダルに拍手を送る兄勝幸さん=19日早朝、津市一志町で

写真

 「頑張れ」のコールは試合終了まで続いた。リオで観戦していた吉田選手の兄、栄利(ひでとし)さん(36)から携帯電話で「戦い抜いた沙保里を温かく出迎えてほしい」とのメッセージがマイクで流されると、会場から「よく頑張った」とねぎらいの言葉が送られた。PVで見守った兄の勝幸さん(38)も「防戦を強いられ厳しい試合だったが、最後まで諦めずに戦ってくれた。本人が一番悔しいはずだ」と目を潤ませた。

■至学館大

 歓声は悲鳴に変わった。吉田選手の母校、至学館大(愛知県大府市)では十九日早朝、学生や市民ら四百人がテレビ観戦で応援したが、負けが決まると「あーっ」との声が漏れ、両手で顔を覆う女性や涙ぐむ学生など重苦しい空気に包まれた。

 吉田選手の敗北に、至学館大レスリング部監督で五輪チームリーダーの栄和人さん(56)の妻怜那さん(37)は目を真っ赤に腫らして「四連覇の重圧は私たちが思う以上だったのだろう。銀メダルは似合わない」と涙で声を詰まらせた。「体力的にはきつかったろうが、使命感で頑張っていたと思う。自分のための時間をつくってのんびりしてほしい」と思いやった。

母校の至学館大で応援する学生ら=19日早朝、愛知県大府市で

写真

 その後、至学館大四年の川井梨紗子選手が初出場で金メダルを取ったため、会場に歓声が戻ったが、ぎこちない空気は変わらず、吉田選手の存在の大きさを際立たせた。

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。