紙面から

「タカマツ」日本初の「金」 バド女子複、結成から10年

バドミントン女子ダブルスで優勝し、抱き合って喜ぶ高橋(右)、松友組=18日、リオデジャネイロで(佐藤哲紀撮影)

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 五輪のバドミントンで全種目を通じて日本勢初の金メダル。「この人と頑張りたい」と尊敬し合い、高め合ってきた末につかんだ栄光だった。

 奈良県出身の高橋礼華(26)と、一学年下で徳島県出身の松友美佐紀(24)。ともに小学生のころからバドミントン界では有名で、文通もしていたという。二人が通うことになった宮城・聖ウルスラ学院英智高で二〇〇七年にペアを組んだ。もうすぐ結成十年になる今も、互いを「松友」「先輩」と呼び合う。

 対照的な部分が多い二人。少し人見知りの松友は自宅で動画を楽しむインドア派。高橋は親分肌で社交的、アーティストのライブに行くのが趣味だ。この性格の違った二人がコートでは見事な化学反応を示す。

 「タカマツ」の最大の武器は、以心伝心のプレー。長年培ってきた連係は、互いを見なくても自然に攻守を入れ替えられる。この日の決勝は最終第三ゲームで16−19と追い込まれたが、松友の前衛での攻撃を起点に五連続得点し大逆転劇を演じた。

 一一年から全日本総合選手権を三連覇し、一四年は世界の強豪が集うスーパーシリーズファイナルで日本勢として初優勝。今年三月の全英オープンでも日本勢三十八年ぶりの優勝と、これまでも二人で歴史を切り開いてきた。

 世界的にも珍しい長いペアの関係を、高橋は「よく言われるけど恋人みたいな存在。二人で一つ的な感じがある。コンビネーションは世界一だと思っている」と誇る。松友も「先輩とじゃなかったらこの舞台に立っていない」と力を込める。

 かけがえのない存在と一緒に歩み、手にした金メダル。二人の笑顔でよりいっそう、その輝きを増した。

 (井上仁)

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