紙面から

転向の最重量級 渡利に勝機なく

女子75キロ級2回戦 ブラジル選手(下)に敗れた渡利璃穏=内山田正夫撮影

写真

 もし対戦相手が別人だったら、観客を味方に付けられたかもしれない。会場中にあるロゴマークと同じ名前の「Rio」を電光掲示板に表示させた渡利は、初戦の2回戦でブラジルの選手と当たった。

 「歓声は気にならなかった。集中していた」。大音量の中で開始早々にタックルで片足をつかんだが、相手を倒せない。「相手の力が強いのは分かっていた。横から崩す練習をやってきたが取り切れなかった」

 昨年まで63キロ級で戦っていた至学館大出身の24歳に、最重量級の敵は大きすぎた。第2ピリオド、相手ともつれ合って尻もちをつくと敵に4ポイント。声援に押された微妙な判定にも見えたが、得点するすべがなければ勝機がなかった。

 昨年末の全日本選手権を前に増量を試み、1日5食を課した時期もあった。体重は安定して70キロを超えるようになったものの、今年に入って右すねを疲労骨折し、下半身を鍛えきれなかった。「強い5人と一緒に五輪に出られて幸せだった。また目指したい」と涙をこぼした。

 (鈴木智行)

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。