紙面から

卓球界、全体強化実る 小学生から定期合宿

卓球男子団体で銀メダルを獲得した(左から)水谷隼、丹羽孝希、吉村真晴の3選手=17日、リオデジャネイロで(隈崎稔樹撮影)

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 卓球界全体でつかんだ男子団体の銀メダルだった。エース水谷隼選手(27)の活躍だけでなく、強化の成功が根底にある。日本卓球協会は二〇〇一年に小学生を対象とした代表チームを設立し、定期的に合宿を実施する。水谷選手は一期生。その背中を丹羽孝希選手(21)、吉村真晴選手(23)ら若手が追った。

 現在、日本の男子代表は年間百日から百五十日、東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)で合宿を行う。倉嶋洋介監督(40)は「国内の競争力を高め、選手層を厚くしたかった」という。

 合宿ではボールを打つ時間を増やした。一二年ロンドン五輪までは一時間半。今では二時間。「限界に近い場面でどんなボールを打てるか。そこで踏ん張らないと接戦には勝てない」と狙いを話す。

 倉嶋監督が代表監督に就任したのは、ロンドン五輪が閉幕した翌月の九月。すぐに小学生から社会人まで各世代の代表選手を集め、「社会の中に卓球界がある。常識や社会のルールを守れない選手は強くなれない」と説いた。

 チーム内での悪口や陰口を禁じ、試合後は相手選手との握手を求めた。「疲れた時や負けた時の態度がその人間の価値を決める。人間力が上がれば必ず卓球も強くなる」

 世界ランキング三十位以内に日本選手は五人。中国と同じ人数。若年層からの育成と長期合宿で鍛えた結果が、日本男子初の団体メダルだった。 (森合正範)

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