紙面から

好物おすし、握るからね 祖父母が美誠選手ねぎらう

伊藤美誠選手に声援を送る(右から)祖母町子さん、祖父健一さん、母美乃りさん=16日、宿谷紀子撮影

写真

 卓球女子団体で、王手をかけた第四試合のシングルスに勝ち、銅メダルを決めた伊藤美誠選手。スタンドには、祖父の健一さん(72)と、祖母の町子さん(60)=静岡県磐田市=の姿があった。「よく頑張ったねってほめてあげたい」

 二歳で卓球を始め、毎日七時間ラケットを振ったという伊藤選手。大会の遠征費を稼ぐため、昼夜働く母の美乃りさん(40)に代わり、毎日の食事の用意や、卓球場への送り迎えをしたのが、伊藤選手が「じーじ」「ばーば」と慕う二人だった。

 練習は、ときに深夜に及ぶ。健一さんは「普段はおっとりしているけど、ラケットを持つと真剣だった。練習がうまくいかなくて泣いても、やめたいとは一度も聞いたことがない」と振り返る。

 伊藤選手の大好物は、すし職人の健一さんが握ったおすし。中学校進学を機に大阪へ練習拠点を移してからも年に数回、帰省するたび「食べたい」とせがむ。父の日や母の日には、健一さんと町子さんにも必ずプレゼントが届く。

 五輪という世界が注目する舞台で大仕事をやってのけた孫娘。ポイントが決まるたび手をたたき、「やったぞ」と声を出し続けた健一さん。地元にメダルを持ち帰ってきたら、おすしをおなかいっぱい振る舞おうと思っている。

 (宿谷紀子)

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。