紙面から

孤高から兄貴へ 卓球団体の柱、水谷選手 

 リオデジャネイロ五輪の卓球男子団体で銀メダル以上を確定させる立役者となった日本のエース、水谷隼(じゅん)選手(27)。かつては「群れるのは嫌い」と話すなど、一人でいる時間が多かった。いまは良き兄貴分としてチームを率いる。

 二〇〇八年北京五輪では最年少、一二年ロンドン五輪では二番目。チームには必ず先輩がいた。今大会は最年長となり、「三回目の五輪。自分の経験をみんなに伝えたい」とリーダーとしての自覚を語る。

 母・万記子さん(54)によると「幼いころから、みんなで一緒にやるより、自分で考えてやるタイプだった」という。倉嶋洋介監督(40)は「ロンドン五輪のころは我が強く、チームでは一匹おおかみ。いまは後輩たちにアドバイスを送り、引っ張っていこうとしている」と変化を感じる。

 一三年に結婚、一四年に長女が生まれた。周囲は「家庭をもってから変わった。穏やかになった」と話す。

 団体戦はどんなに傑出した力を持っていても一人では勝てない。準決勝のドイツ戦では弟分の丹羽孝希選手(21)、吉村真晴(まはる)選手(23)=名古屋ダイハツ=のダブルスで挙げた一勝が大きかった。

 勝利後の歓喜の輪の真ん中は水谷選手。「シングルスは自分の夢、団体はみんなの夢をかなえたかった」。さらに大きな夢へ、決勝も「チーム」で金メダルに挑戦する。(森合正範)

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