紙面から

<サンバの鼓動> 成長を感じた「子ども」

 「まだまだ自分は子どもだな」。種目別男子床運動決勝。優勝を絶対視されながら4位に終わった白井健三選手を囲む取材エリアで、1カ月ほど前に似た言葉を聞いたのを思い出した。

 出発直前の合宿。リオに持っていきたいものを尋ねられ「自撮り棒」と答えた。「防犯上、問題あるんじゃないの」と突っ込むと、人懐っこい笑みを返した。「考え方がガキですよね」

 若きエースは南米で堂々と戦った。団体総合決勝では跳馬と床運動をほぼ完璧に決め、疲れのあった内村航平選手(27)らを支えた。種目別跳馬では新技を披露して銅メダル。栄光と試練の舞台で発した「子ども」の意味は前回と全く違って聞こえた。

 出会いは3年前。中日体育賞の取材で受賞者一覧を見て「すっげえメンツ」と目を輝かせた高校2年生は、五輪閉幕直後に20歳となる。4年後、自分は何をしているか分からないが、君は必ずあの場所にいる。東京五輪でもう一度。跳べ、健三。(鈴木智行)

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