紙面から

水谷、エースの仕事で自信の2勝

ダブルスで貴重な1勝を挙げた丹羽(左)、吉村組=隈崎稔樹撮影

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 チームに勢いをつけたのは、やはり水谷だった。1番手のシングルスで吉村が敗れ、重圧がかかる2番手で登場。相手はかつて世界ランキング1位になったこともあるティモ・ボルだ。過去の対戦成績は1勝15敗と分が悪い。

 しかし、倉嶋監督はこのオーダーに自信があったという。「いまの水谷なら絶対に勝てる。シングルスで銅メダルをとって、伸び伸びプレーしてくれる」

 もともと水谷は守りの選手だ。長いラリーになると、下がってボールを拾い、なかなか前に出られない。だが、今大会は勝負どころで果敢に前へ出て攻めの姿勢を貫いている。

 「相手がサーブを出すときに手が震えていた。緊張しているのが分かった。これは行けると思った」。気持ちでも勝っていた。3−0のストレートでドイツに流れを渡さない。

 3番手のダブルスが勝ち、2−1で迎えた4番手も再び水谷。余裕の試合展開で相手を寄せ付けない。第3ゲームのマッチポイント。「ラストは最高のプレーで決めたい。映像に残るので」とタイムをとって、ひと呼吸置いた。

 最後は相手の返球が大きく外れ、水谷はガッツポーズのまま倒れ込み、大の字になって喜びを表した。団体戦3勝のうち、2勝を奪い、エースの役割を果たした。「シングルスは自分の夢、団体はみんなの夢をかなえたかった。リオから東京へつながる大きなメダルだと思う」。試合後、歓喜の輪ができる。その中心に水谷がいた。 

 (森合正範)

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