紙面から

<サンバの鼓動> 米のスイマー 関西弁やねん

 「そうやなあ。ハギノとセト、頑張ったなあ」

 競泳会場の取材ゾーンで、日本の報道陣はある選手との会話に癒やされた。男子400メートル個人メドレーで五位入賞した米国代表、ジェイ・リザーランド選手。共に戦った日本の金、銅メダリストをたたえるのは、流ちょうでちょっとコミカルな関西弁だ。

 父はニュージーランド人。三歳まで母親の故郷、兵庫県尼崎市で育った。その後、家族で米国に移住。市民権を取得した。自慢の関西弁は、母親との会話で身に付いた。

 国別のメダル獲得数ばかりに一喜一憂する五輪。自分がその一端を担っていることも十分承知している。だが国境をまたぐように活躍する選手たちを見ていると、時々立ち止まって考えてしまう。「人種のるつぼ」と呼ばれるブラジルにいるとなおさらだ。

 「おれ、三つ子なので三人で東京に行きたいな。東京五輪、絶対頑張るわ」。笑って去って行った好漢の関西弁を四年後、また聞きたい。(高橋隆太郎)

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