紙面から

ケンブリッジ「今の実力」

男子100メートル準決勝力走するケンブリッジ飛鳥。右はガトリン=隈崎稔樹撮影

写真

 手応えを生かし切れなかった。ケンブリッジは10秒17で3組7着。予選よりもタイムを落とし「もうちょっとやれるかなと思ってたけど…。悔しいですね。これが今の実力かな」と潔く認めた。

 準決勝はアテネ大会金メダルのガトリンが隣のレーン。「あまり気にしないようにしたけど、硬くなっちゃった」。スタートで出遅れると、得意の後半も伸びを欠いた。

 父の故郷・ジャマイカで生まれた。2歳のとき大阪に移り、中学から東京都江東区へ。東京高、日大と陸上の名門校を歩む。180センチ、76キロ。まるでモデルのように均整がとれている。「何度かスカウトされたことがある」と速さだけでなく、スター性を兼ね備える。

 けがが多く、速さに耐えられる強い体づくりがテーマ。この2年半で体重は5キロ増えたが、体脂肪率は減り、わずか4%。「筋トレを継続してきた効果が速さにつながっている」と自信を深めた。

 今季に入り、10秒10の自己ベストをマーク。日本選手権では山県、桐生祥秀(東洋大)を抑えて初優勝を果たした。日本で最も勢いがあり、最も強い23歳。予選後には「この雰囲気は楽しい」と大舞台で動じない心の強さも示した。

 「決勝も手が届くかなと思っていたけれど、いまひとつでした。期待に応えられず残念。また次、挑戦したい」。初の五輪を楽しみ、存在感を示した。 

 (森合正範)

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。