紙面から

山県、自己新にも無念

男子100メートル準決勝2組でゴールする山県亮太(8レーン)、ウサイン・ボルト(6レーン)ら=共同

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 ファイナリストの座は遠かった。山県は得意のスタートから飛び出したが、中盤から置き去りにされた。2レーン隣には世界記録保持者のボルトがいる。世界の速さを体感した。2組5着。自己ベストを100分の1秒更新する10秒05で走ったが、決勝への壁は高くて厚い。「ベストが出せて良かったと思う半面、ちょっと悔しい」。これが現実だった。

 2012年ロンドン五輪で準決勝に進出し、将来を嘱望された。そのとき20歳。リオまでは飛躍の期間となるはずだった。直後に右太ももを肉離れ。治ったと思ったら、今度は左太もも。次は腰痛…。治療に専念するため、昨年はほとんどの大会を欠場し、シーズンを棒に振った。

 「ロンドンからリオの間は『辛抱』の二文字。心が折れそうになったけど、もう一度あの五輪の舞台に立ちたい。そのことばかり考えていた」

 「飛躍」のはずが「辛抱」となり、乗り越えた先にリオが待っていた。前回と同じく準決勝敗退。勢いだった4年前と違い、力でつかんだ準決勝。「全く雰囲気に押されることなく、自分のレースができた」。まだ五輪が終わったわけではない。18日に予選が行われる400メートルリレーへと気持ちを切り替えた。

 (森合正範)

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