紙面から

ボルト、3連覇で限界説振り払う

男子100メートルで優勝し、得意のポーズを決めるボルト=隈崎稔樹撮影

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 「世界最速」の称号を守ったボルト。3連覇の喜びをかみ締めるように、ゆっくりと競技場を1周して歓声に応えた。トラック種目で3連覇は史上初の快挙。「最高のレースだった」。あまたの栄光を味わってきたスーパースターのひと言が、喜びの大きさを物語った。

 抜群のスタートから先行したガトリンを追う展開。中盤からぐいぐいと伸び、トップスピードでガトリンをかわす。リードを広げながらフィニッシュした。ボルト強し。限界説を吹き飛ばした。

 アクシデントが発生したのは7月1日のジャマイカ選手権。左太もも裏のけがを訴え、決勝を棄権し、200メートルも欠場した。調整に影響を与えたことは間違いない。ライバル、ガトリンは全米選手権で2冠となり、絶好調でリオに乗り込んできた。ボルト危うしという周囲の声に「自分の力を証明するよ」とさらりと言ってのけた。

 ボルトのキャリアは栄光に彩られている。2008年北京、12年ロンドン両五輪の100メートル、200メートルで連覇を達成。世界選手権では11個の金メダルを獲得した。09年ベルリンでマークした100メートル9秒58、200メートルで19秒19の世界記録はいまなお破られていない。まさに陸上史上最大のスーパースター。フライングで失格となった11年韓国・大邱の世界選手権100メートルを除けば、08年以降、世界大会で負けた姿を見せていない。

 リオ入り後、8日の記者会見では「間違いなく最後の五輪になる」と明言した。これまで言い続けていることがある。「目標は引退するまで1番であり続けることだよ」

 最終章の幕が開け、まずは1冠。「あとメダルを二つとって締めくくりたい」。伝説に新たな1ページを書き加え、ボルトが愛する200メートルで世界新を狙う。 

 (森合正範)

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