紙面から

内村、冒頭減点で踏ん張れず 

 今大会三つ目のメダルへの挑戦は、最初の10秒で終わった。10日の個人総合決勝で腰を痛め、迷いながらも種目別決勝に出場した内村。1番手で登場したロンドン五輪の種目別銀メダリストは本来の演技を見せられなかった。

 「全ては1節目で決まった感じ」。後方伸身宙返り3回半ひねり、前方伸身宙返り1回半ひねりと続く冒頭の連続跳躍。一瞬、止めたように見えた着地は踏ん張りきれず横に跳ね、両足がラインを越えた。いきなり0・300点の減点。着地の少しのずれが左右する種目別の勝負では致命的だった。

 他の着地は何とかこなしたが、3位と0・192点差の5位。「これが現実か」。ラインオーバーがなければメダルが取れていた計算だが、そこにこだわりはなかった。「五輪の舞台で(種目別の)床ができるチャンスがあって、あまり良くない状態でできた。いい経験になった」

 優勝候補筆頭だった白井が敗れた。「やはり、五輪で金メダルを取るのは相当難しい。あれだけ日本を驚かせてきて、期待に応えてきた男でもこんなことがあるんだな」。新旧エースがともにメダルを持ち帰れなかった悔しさは、4年後の東京で晴らす。

 (鈴木智行)

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