紙面から

独に惜敗、福原の執念実らず

日本−ドイツ 第3試合でプレーする福原(左)、伊藤組=佐藤哲紀撮影

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 3時間54分にわたった熱戦は意外な形で決着した。卓球女子団体準決勝、最終第5試合の第5ゲーム、福原が9−10とマッチポイントを握られた場面。ドイツ選手の浮いた返球が、台の角に当たって大きく跳ねた。

 拾いようのない、不運としか言えないボール。台の真横に当たった「アウト」ではないかと、石川らが審判に抗議したが認められなかった。「最後の判定まで諦めたくなかった。負けを認めることになるから相手と握手しなかった」と台から離れようとしなかった福原の執念も、報われなかった。

 波乱の兆候は第1試合からあった。伊藤が相手エースと対戦。2−2で迎えた第5ゲーム、ポイント9−3と勝利目前から逆転負けを喫した。「相手に思い切りの良いプレーで反撃されて、何も考えられなかった」と伊藤。勝ち急いでミスが続いた自滅に、チーム全体が浮足立った。続く石川が0−2と追い込まれてから逆転しても、勢いが続かない。第3試合の福原と伊藤のダブルスが惜敗。石川が第4試合でストレート勝ちして意地を見せたが、最後は悪い流れを象徴するような結末だった。

 この4年間、大半の時期で日本女子は団体の世界ランキング2位を維持した。ロンドン五輪団体銀メダルのメンバーから福原と石川が残り、新たに台頭した15歳の伊藤を加えた3人。打倒中国を合言葉に、村上恭和監督は「過去最高の力で臨める」と手応えをつかんでのリオ五輪だった。

 2大会連続の決勝進出は断たれたが、2日後の3位決定戦で連続メダルが懸かる。石川は「自分たちらしいプレーをすれば結果はついてくる」と切り替えを強調し、福原は「今日も良いところはあったので、それを残していく」。伊藤は「思い切ってぶつかりたい」と目を赤くしながら、決意を示した。

 (井上仁)

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